南方の巨大魚や漂着死が消え、スケトウダラやメバルが戻った…
「原発停止」で復活した日本の海
(週刊朝日 2013年9月27日号配信掲載) 2013年9月18日(水)配信
益田氏によると、原発稼働中は、温排水排出口から約2キロのポイントの海水温は、外の海域と比べて2度ほど高かった。
「原発が停止する直前の調査では、冬でも南方系の魚が多く見られました。マツカサウオ、ハリセンボン、ソラスズメダイ、カミナリベラなどです。冬に南方系の巨大なシイラが釣れると釣り人が話しているのも聞いた。温排水の影響で越冬できるのでしょう」(益田氏)
だが、高浜原発の停止から2週間ほどして益田氏が海に潜ると、水温はそれまでより低くなり、周囲と変わらなくなっていた。そして、南方系の魚が顕著に弱ったり死んだりしているのを見るようになった。さらに6週間後には、南方系の魚は見られなかったという。
「南方系の魚が消え、砂漠のような感じになっていた。さらに4月になると、南方系とは違う魚をたくさん見かけるようになりました」(同)
目立ってきたのはメバル、ホンベラ、ヒラメの稚魚など。原発が稼働していたときには、ほとんど見かけなかった魚ばかりだという。
「原発の停止後は、少し離れた場所と変わらない魚種が多く見られるようになった。海が元の状態に戻ったと思われます」(同)
高浜原発から数キロ離れた漁港で取材すると、まったく同じ話を聞いた。
「原発が動いていたときより、海水の温度は冷たくなった。南方系の魚はすっかり消えたよ。それ目当ての釣り人も来なくなった。一方でメバルとかヒラメはかなり増えた。まだ、漁獲が急増というほどではないが、昔の海に戻ったような気がする」
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