東京国体、成年男子フルーレ2回戦で山口県の選手に敗れた東京都の太田雄貴=東京都台東区の台東リバーサイドスポーツセンターで(沢田将人撮影)
|
 |
国民体育大会第7日は4日、東京都内の各地で行われ、フェンシングの成年男子フルーレでは、2020年東京五輪招致に貢献した太田雄貴(27)=森永製菓=の東京都が3回戦に進出した。団体で銀メダルを獲得した昨年8月のロンドン五輪以来の競技復帰を果たした太田は5試合で3勝2敗。「東京五輪への第一歩として、東京が勝つことが大事」と優勝を宣言した。成年男子フルーレの3回戦〜決勝は5日に行われる。
陸上では少年男子Aの100メートルで京都代表の桐生祥秀(17)=洛南高=が優勝し、大会3連覇を達成した。ただ、タイムは10秒22(追い風0・1メートル)に終わり、来春に進学する東洋大で日本人初の9秒台に挑む決意を語った。
ちょっと小首をかしげて、苦笑いだ。鹿児島県との1回戦。先陣を切った太田が5点先取のゲームで、2008年北京五輪日本代表の西田を4−1と追い詰めながら、よもやの逆転負けを食らった。スタンドの子供たちから「太田選手、ガンバレ〜」と声援が飛ぶ中、山口県との2回戦初戦でもやはり1人目で敗れた。それでも、東京は3回戦に進出。ロンドン五輪以来1年2カ月ぶりの競技復帰は、素直にうれしかった。
「自分の場所に帰ってきた。空気、歓声…。いいなと。今日は帰ってきたことをかみしめていたし、フワッと(試合に)入ってしまった。1日に2回負けることは、そうそうない。(チームメートに)甘えすぎた。明日は恩返しをしたい」
ロンドン五輪後は体を休めながら、20年東京五輪招致活動に精力を注いできた。プレゼンテーションした国際オリンピック委員会(IOC)総会から帰国後、さまざまな人から「ありがとう」と言われた。「こんなに『ありがとう』と言われることはもうないでしょう。フェンシング関係者に一番言われたのは『練習しているのか?』でしたけど」。取材中も笑顔があふれた。
その練習は6月に再開した。体力的に充実していた一方、フェンシングの練習量は足りなかったという。「悪い癖だが、今日は体が突っ込んで、カウンターを食らった。明日はニコニコせず、勝つことにこだわる。ロンドン(五輪)より強くなれる意識もある。東京五輪への第一歩として、東京(都)が勝つことが大事ですから」。7年後に主役となり得る若き後輩たちや子供たちが見守る中、太田がどんな剣さばきを見せるのか、乞うご期待だ。 (関陽一郎)
この記事を印刷する