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'13/10/5

広島市、別人財産差し押さえ




 広島市が、市税を滞納した佐伯区の女性(57)の財産差し押さえ手続きで、同じ名前の西区の女性の定期貯金約211万円を誤って差し押さえていたことが4日、分かった。市から口座照会を受けたJA広島市(安佐南区)のミスが原因とみられる。2008年の差し押さえから5年余り過ぎた今年7月、誤認された女性の指摘で発覚した。

 市財政局やJAによると女性2人は名前の表記も読み方も同じ。佐伯区の女性は市民税や固定資産税、都市計画税の延滞金約139万円が未納だった。

 市は、地方税法に基づく財産差し押さえのため08年4月ごろ、JAなど地元6金融機関に、佐伯区の女性の名前の漢字・カタカナ表記、住所、生年月日を文書で伝え、預貯金の有無を照会。回答を受け、08年6月にJAの定期貯金の口座を差し押さえた。しかし、実際はこれが西区の女性の口座だった。

 市は誤認したまま、佐伯区の女性に差し押さえ調書を送付し、定期貯金が満期の09年3月、JAから約211万円を受領。市税滞納分差し引き後の約72万円は、佐伯区の女性の別の金融機関の口座に振り込んだ。

 ことし7月、西区の女性がJAに貯金について問い合わせ、ミスが発覚。JAは全額弁償し謝罪したという。

 JAのリスク管理室によると、口座を検索する内部のオンラインシステムは、対象者の名前をカタカナで入力して調べる。通常は住所、生年月日もチェックし、担当者以外にも職場の上司2人が確認するという。「確認を怠ったか勘違いしたとみられるが、関係文書を既に廃棄しており、当時の詳しい事情は分からない」とする。

 市とJAは、佐伯区の女性に約211万円の全額返還を求める方向で協議している。女性は「知らない間に家族がJAに貯金していたのかと思った。いきなり返せと言われても困る」と話す。市財政局は「どういう方法で返還を求めるか弁護士と相談する」としている。




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