秘密の保護と公開 日米の制度の違いは10月3日 20時17分
「特定秘密保護法案」を巡って日米両国の情報公開制度に詳しい専門家は、「秘密保護と情報公開とのバランスを取ることが重要だ」と指摘しています。
「密約」公開で日米の違い明らかに
外交・安全保障に関する秘密情報の扱いを巡って日米両国の違いが浮き彫りになったケースが日本への核兵器の持ち込みや、沖縄返還を巡る、いわゆる「密約」についての対応です。
1960年代から70年代にかけて日米両国の間で交わされたとされるこれらの密約についてアメリカ政府は、秘密指定を解除し、2000年前後から文書を開示していましたが、日本政府は、2009年に調査を開始するまで、その存在を一貫して否定し続けました。
アメリカでは、こうした外交・安全保障に関する秘密文書の指定と解除について、大統領令で詳しく定めています。最新の大統領令によりますと、秘密として指定する期間は、そのレベルに応じて、最大25年までとしていて、重要な秘密と判断されたものはさらに期間を延長することが出来るとされています。一方で、国民の知る権利が侵されることのないよう、秘密指定が解除されたものは速やかに公文書館に収められ、情報公開請求が認められれば開示されることになっています。
この運用を厳格に行うため、国立公文書館には、「情報保全監察局」が設けられ、政府機関が隠す必要のない情報を秘密指定したり、秘密指定の期間を理由なく延長したりしていないか監査などを通じて、チェックする権限が与えられています。
「チェック権限と公開の仕組み作りを」
現在日本の国立公文書館には、アメリカのような権限は与えられておらず、特定秘密保護法案でもアメリカの情報保全観察局のような、チェック機関を設ける条文は設けられていません。
政府で特定秘密保護法案を担当する内閣情報調査室は「新しくチェック機関を設けることは難しいが、法律が施行された場合、その運用については恣意的(しい)にならないよう、内閣を中心に厳格に行う方針だ」と話しています。
また、日米両国の公文書管理や情報公開制度に詳しい、早稲田大学大学院の春名幹男客員教授は「アメリカでは秘密文書を保管することが大前提となっているが、日本では、廃棄されてしまうケースが散見される。公文書は国家にとっても国民にとっても、歴史を残すうえで貴重な資料だ。現時点で公開できない秘密でも将来公開する仕組みを作り、秘密保護と情報公開という車の両輪のバランスを取ることが重要だ」と話しています。
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