(セ・リーグ、ヤクルト2-3阪神=延長十二回、最終戦、阪神16勝7敗1分、4日、神宮)バッキーを超えた。キーオでも叶わなかった。メッセンジャーがまるで成功したハンターのような表情で語気を強めた。
「三振とイニング数はこだわっていた数字だ」
今季30試合目、ラスト登板を7回4安打2失点でまとめた。7三振を奪い、シーズン183Kで締めた。5日に先発する2位・前田健(広島)に29差の大量リードをつけた。虎外国人投手史上初となる最多奪三振のタイトルに当確ランプを灯した。
「すごく(状態は)よかった。1本のヒット、本塁打がああいう形になってしまったけどね」
六回先頭の上田を歩かせた。二死三塁からバレンティンに力勝負。外角低めの速球を右翼席最前列にライナーで運ばれた。日本球界初の60号2ランを献上してしまった。歴史に名前を残すことになったが、潔い。「ああいう球を打たれたのは脱帽するしかない」と納得の1球だった。今季はバレンティンに対して18打数2安打(打率・111)、1本塁打に抑えた。2010年から3年間でこの日が初めて許した一発だった。
「唯一打たれた本塁打だ」。真っ向勝負を選んできた証となった。
「(球審の判定には)イライラするのも闘争心の表れだ。戦っている以上は、ね。きょうは自分を保って投げられた」
前回登板の9月29日の中日戦(ナゴヤD)では微妙なコースをとってもらえず「ヘタクソ」と思わずののしった。広島とのCS第1ステージでは13日の第2戦先発(甲子園)が濃厚だ。今季限りで契約が切れる。複数の大リーグ球団が関心を示し、去就が注目される中で有終の美を飾った。1メートル98、119キロの巨体がやけに大きくみえた。 (阿部 祐亮)
(紙面から)