宮島フェリー:乗り場集約 19年度完成、より便利に美しく /広島
毎日新聞 2013年09月25日 地方版
年間約400万人が訪れる世界遺産の島・宮島(廿日市市)の玄関口「厳島港宮島口」で今月8日、港湾施設を再整備するための埋め立て工事が始まった。2019年度の全面供用開始を目指し、フェリーの旅客ターミナルや桟橋を集約して充実させるほか、眺望の楽しめる緑地も整備する。20年の東京五輪開催でさらなる観光客増が期待される中、世界遺産にふさわしい“おもてなし”の態勢を整える。
宮島口には現在、JR西日本宮島フェリーと宮島松大汽船の2社のフェリーが就航。年間利用者は観光客や住民など約730万人に上り全国一を誇る。しかし、旅客ターミナルと桟橋は二つずつあり、両社が別々に管理。動線が分かりづらく、待合スペースも狭いなど課題があった。県は約1万平方メートルを新たに埋め立て、約40メートル沖出しして旅客ターミナルを1カ所にまとめて拡大。桟橋も集約し、バリアフリー化や雨天時用の屋根を設置するなど利用者の利便性に配慮する。
また、ターミナル北東側には宮島や瀬戸内海の眺望を楽しんだり、イベントに利用できる緑地スペースも設ける。新たな護岸は眺望を妨げないように高さを低く保ちつつ、消波ブロックを効果的に使用し災害へ強い作りにするという。
総事業費は約50億円に上り、埋め立て工事の完了は18年度を予定。ターミナルや緑地スペースなども19年度までに完成見込みという。工事を進める県港湾漁港整備課は「多くの方に喜んでもらえるような、世界遺産の玄関口を担う重要港湾にふさわしい港にしたい」と話している。【吉村周平】