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【グラニュース】


カリスマ監督激動の6年<中> 個人技に頼る監督と選手間に「溝」

2013年10月5日 紙面から

 ストイコビッチ監督の船出は鮮烈だった。就任初年度の08年を、当時から在籍しているDF増川はこう振り返る。「サッカーのイメージが変わった」。前年11位のグランパスが開幕7戦を6勝1分と突っ走る。万年中位とやゆされていたチームの見事な変身だった。

 増川は「ミスター(ストイコビッチ監督)のやり方はシンプル。ショートパスでボールを動かし、攻撃に人数をかける。これが非常にはまった」。洗練されたピクシー流サッカーで順位は3位まで上昇。2年後には優勝、11年も2位。まさに黄金時代を築き上げた。

 一方でグランパスは少しずつ変わり始める。DF闘莉王、MFダニルソン、FWケネディと圧倒的パワーを誇る選手が相次いで加入。個人技に頼る風潮は徐々に強まった。確たる戦術がぼやけた12年以降は安定した強さを失った。

 ピクシーは敗れた試合で選手の技術不足を繰り返しやり玉に挙げた。超一流のピクシーには選手のふがいなさが目についたのかもしれないが組織的サッカーの再構築を求める選手との間で、次第に溝が広がった。

 主将のGK楢崎は回顧する。「(監督在任が)長くなっていろいろな問題が出てきて、よくない状況になった。もともとフランクで威厳もある監督だけれど、選手とのコミュニケーションは減ってきた」

 ベテラン重視の選手起用に対し、チーム内からは「年功序列」との不満がもれ聞こえた。極め付きはピクシーが長男・マルコを練習生という名目で練習試合にも起用したこと。数少ない若手のアピール機会を奪う強権発動は、しらけムードを誘った。

 今季は選手個々がバラバラに戦うシーンが目立ったグランパス。求心力が低下したカリスマ指揮官に、チームを上位へ導く術は残っていなかった。 (木村尚公)

 

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