信楽高原鉄道、廃線も視野 台風18号禍で甲賀市長
台風18号による被害で橋脚などが流失し、運休が続いている滋賀県甲賀市の信楽高原鉄道について、同市の中嶋武嗣市長は2日の定例会見で、「存続そのものを決断しなければならない」と述べ、同鉄道の廃線も視野に入れていることを明らかにした。
中嶋市長は、同鉄道の運転再開について「大変、残念だが、復旧の見通しがたたない」とした上で、「安全性を考えた場合、80年前に造られた橋脚を全て点検、改修することも必要」とした。
同市長は9月26日に、太田昭宏国土交通相に同鉄道の再開支援を要請した。しかし、鉄道軌道整備法では事業費を国と自治体が25%、事業主が50%と規定しており、今年4月から上下分離方式で第3種鉄道事業者となった甲賀市は県の支援を得られない場合、最大で75%を負担しなければならない。
市によると、流失した杣川(そまがわ)鉄橋(延長95・69メートル)の橋脚1基の被害額は約3億5千万円。JR西日本に技術支援を要請する方針だが、同鉄橋の橋脚は5基あり、点検、改修となると膨大な費用が予想される。中嶋市長は「住民が『乗って残そう信楽線』と守ってきた鉄道で、乗るから何とかして、との強い熱意も理解できる。国、県の支援を期待するが、費用対効果も考えなければならない」と語った。最終的な決断の時期については、JR西日本の調査期間がどの程度になるか不明で、明らかにしなかった。
市の調査では、同鉄道の被害は杣川鉄橋の橋脚1本と橋桁2本のほか、線路盤陥没やのり面崩壊、土石流入など24カ所に及ぶ。9月16日から信楽駅-貴生川駅間は代替バスを運行しているが、運行経費は半年で約4000万円という。
【 2013年10月02日 23時28分 】