2014年秋の打ち上げを目指す小惑星探査機「はやぶさ2」に、県内で製造されたエンジンのノズル(噴射口)が搭載される。機体の姿勢を制御する部品で、精密金属加工、ナカヤマ精密(大阪市)が菊陽町のテクニカルセンターで製作。「メードイン・熊本」の技が移動距離6億キロともいわれるプロジェクトを支える。
「はやぶさ2」のイメージ図。姿勢制御用エンジンの噴射口にナカヤマ精密が手掛けた部品が使われている(JAXA提供)=(C)JAXA
「はやぶさ2」は、小惑星イトカワから物質を持ち帰った「はやぶさ」の後継機。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、直径900メートルほどの小惑星に到着し、地中の物質を採取して20年に地球に帰還する。小惑星の物質を調べることで太陽系や生命の誕生の謎に迫ることが期待されている。開発費は約162億円。
ナカヤマ精密は昨年春、エンジン開発を請け負う三菱重工(東京)から噴射口の加工を受注。宇宙での姿勢を制御する際に燃料を噴出するノズル十数個分の部品成形と、0・1~0・3ミリほどの穴を複数開ける精密加工を手掛けた。4月に最終製品を納入した。
現在、来年秋の打ち上げに向けて燃焼試験などが進められており、JAXAは「ナカヤマ精密が担った部分は電力を賄う太陽光パネルの向きの修正や、小惑星での物質採取などで重要な役割がある。参画企業の高い技術があってこそのプロジェクト」(広報部)という。
ナカヤマ精密は1984年、西原村に進出。菊陽町との2工場体制で半導体の製造装置部品などを生産し、金星探査機「あかつき」の噴射口も受注した。中山愼一社長は「国家的な事業に携わることは、熊本でものづくりに励んできた社員にとっても誇らしい。しっかり役割を果たし、無事に帰還してもらいたい」と話している。(原大祐)
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