カンパニー

映画・ドラマ制作

シナリオ作品例

某監督作(プロット)『地獄でなぜ悪い』

ヒットマンから夫を守る為、体を張り四人を殺害した極道妻シズエ。
瀕死の状態だがかろうじて生き延びた男は、血の海の中、シズエの娘で小学生のミツコ(10)と些細な会話を交じわす。

十年後。

組長である武藤は、シズエの出所祝いにと、ミツコの映画デビューを約束していた。
しかし、ミツコは撮影所から失踪、彼女ぬきのまま撮影は終了してしまう。
裸足で突然現れたミツコに、一日恋人を頼まれた大学生の浩次。
逃げた元恋人への復讐につきあわされる。ビンの破片を口に含んでキスをするミツコ。
その痛々しくも美しい光景に浩次は魅せられてしまう。
武藤の追っ手に捕まり、ミツコの男と誤解された浩次は「彼は映画監督なの」というミツコの一言で命拾いをする。
かくして浩次は、命と引き替えに、ミツコ主演の映画を残り十日で撮ることを武藤に約束してしまう。
映画には素人だが張り切る武藤組、組員達。
実は映画製作の経験など全くなく、途方にくれる浩次。
加えて、池上組にも狙われている武藤組には台本を書く時間も余裕も残されていないのだった。
自主映画監督の平田を巻き込み、浩次達は早速撮影にとりかかる。
武藤・池上両組の大乱闘に、そのままカメラをむけることにしたのだ。
腕が飛ぶ、首が飛ぶ、血・血・血の地獄絵図が繰り広げられていく中で、次第に狂気を帯びていく浩次と平田。
修羅場にありながら浩次の目にはミツコが七色の花畑にたたずむように映る。
十年前、血の海のなかで小学生のミツコと会話を交わした男、池上またミツコの美しく成長した姿に魅せられながら、血の海の中で死んでいくのであった。

十年後。

霊能者がかつての地獄となった現場を歩く。
彼女には、他界した当事者達、武藤・ミツコ・浩次・平田、そしてつい最近亡くなったシズエのあの世での様子がありありと見えるのだった。

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