金融政策の据え置きを決定、量的・質的緩和の効果見極め-日銀会合
10月4日(ブルームバーグ):日本銀行は4日開いた金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決定した。景気が緩やかに回復していることに加え、物価も上昇基調にあることから、日銀は当面、4月に打ち出した量的・質的金融緩和を着実に進め、その効果を見極める構えだ。
会合では「マネタリーベースが年間約60兆-70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」方針を据え置いた。資産の買い入れ額も、長期国債はじめ、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)、コマーシャル・ペーパー(CP)、社債などいずれも据え置いた。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト36人を対象に行った事前調査では、ほぼ全員が現状維持を予想していた。
1日発表された日銀の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス12と6月の前回調査から8ポイント改善。2007年12月調査以来5年9カ月ぶりの高水準で、08年秋のリーマン・ショック後で最高となった。安倍晋三首相は同日、消費税率(現行5%)を来年4月から8%に引き上げることを表明した。
ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは「2013年度中は短観でセンチメントの強さが再確認されたことに加えて、今後消費増税前の駆け込みが本格化してくるため、実質2.8%と高めの成長を予想している」と指摘。「14年度は消費増税後の一時的な落ち込みは避けられないが、前回1997年の消費税率引き上げ時のような長期低迷には至らないだろう」とみる。
物価も上昇基調物価も足元で上昇基調を強めている。8月の全国の消費者物価指数 (生鮮食品を除いたコアCPI)は前年同月比プラス0.8%と市場予想を上回る上昇となった。RBS証券の西岡純子チーフエコノミストは「日本経済は潜在成長率を大幅に上回るペースで成長しており、負の需給ギャップも順調に回復している」と指摘。「コアCPIが今年末までに1%台を回復することも十分に想定される」という。
景気の回復と物価の上昇により、年内の追加緩和期待は沈静化している。もっとも、エコノミスト36人のうち、日銀が来年1-3月、4-6月、ないし7月以降、追加緩和に踏み切るとの予想が計33人と全体の92%を占め、前回調査(94%)に引き続き圧倒的多数を占めている。
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「1-3月になると駆け込み需要が一段と強まる可能性があるため、年明け早々の追加緩和策の可能性は後退してきた」という。しかし、「4月以降は不透明だ」と指摘。「消費増税で回復が腰折れすることはないと思われる」としながらも、消費がしばらく停滞する可能性あることや、CPI上昇率が今年の反動から鈍化する恐れを挙げ、「追加緩和の議論が政治的に台頭しやすくなるだろう」とみる。
木内委員は独自提案木内登英審議委員は前会合に続き、2%の物価安定目標の実現を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。日銀は4月4日の会合で、目標実現については2年程度を念頭に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は、目標を安定的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明した。
黒田東彦総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は11月6日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 +81-3-3201-3564 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 +81-3-3201-2158 tfujioka1@bloomberg.net
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更新日時: 2013/10/04 11:51 JST