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【放送芸能】

「R100」あす公開 松本人志監督に聞く

 奇想天外な設定とストーリーで、独自の世界観をスクリーン上に展開してきた松本人志監督。時代劇に続く新作「R100」(5日公開)のテーマは、なんと「SM」だ。監督としてキャリアを重ね、自ら「合格」と判定する4作目で見えてきたものは−。あらためて映画作りへの思いを聞いた。(前田朋子)

 −お笑い芸人としては大ベテラン。映画という表現方法をとる理由は、「お笑いでできないことを」ということなのか。

 「ものすごく簡単に言うとそうかもしれないが、『映画』を意識しているわけではない。スクリーンを使って自分をどう表現できるか、ということだと思います。映画を勉強したこともないし、『おまえは映画が好きか?』と偉い人に言われたら、『いやぁ?』って答えちゃうと思う」

 −とは言いつつも四作目。

 「映画監督らしき演出をしたのは、実は今回が初めて。これまでの出演者はほぼ自分だけとか、素人のおっちゃん(『さや侍』主演の野見隆明)ですし。『さや侍』はかなり映画っぽい映画になったので、今度は脚本からメチャクチャにしたかった。その分、演技力のある人で固めないと。監督として言葉足らずなところも、皆さんに先回りしてやってもらえました」

 −四作を通じ、「何かを抱えた孤独な男」が主人公であることが多い。お笑いで天才と言われ、誰もついて来られない監督の姿を反映させた? 

 「僕は基本的には孤独な人間。幼少のころから、愛情に飢えていたわけではなく、自分で孤独を選ぶところがありました。毎回違うものを撮っているつもりですが、僕が作っているものだから、出てしまうのかも」

 −今作は特に前半の暗さが際立ちます。

 「怖いぐらいに悲しい感じを出し、色みにもこだわりました。圧力釜のように抑えて抑えて最後まで引っ張っていく。ただ、どうしても『笑わせたい』という癖が蒸気として出るので、感じる人は笑ってもいい」

 −これまでにも登場した疑似ドキュメンタリー的な部分が今作にも。作品を外から眺めるような仕掛けを好むのは?

 「照れもあるのかな。あとはひきょうさ(笑)。今回のラストは自虐です。最後に外すというか、何かやりたい。職業病です」

 −SMを題材にしたのはなぜ?

 「三十年漫才コンビをやっていて、人間が二人いるとどうしてもSとMの関係性が生まれるな、と興味を持って。人間関係を表現できる面白い分野だと思います」

 −これまでの作品は、日本では必ずしも興行収入に直結していない。一方で、海外で注目されている。

 「日本では、僕が撮る映画イコールお笑い、と決め付けられるけど、コメディーを撮る気はまったくないし、この先も多分そう。映画のジャンルはこちらから提示するものではないし、もっと言えば『松本映画』という一つのブランドをつくりたいと思っているんです。海外では、ダウンタウン松本を知らない人が見るから意見がストレート」

 −今作の自己評価は。

 「試写で面白かったんで、『あ、もういいや』と。僕の中では合格ということです。今回は本当に頑張って、いろんなものがだいぶ見えてきた」

 −監督・松本人志の転換点となる作品に?

 「漠然と、『この人はすごいものをいつか作るんじゃないかな』と思いました。僕自身、楽しみです。ただ、次が撮りたくても『もういいよ』と言われる世界。(次回作は)ラブストーリーを撮れと言う人もいて、なるほどと思ってはいますが…」

<映画「R100」> 大手家具店に勤める片山(大森南朋(なお))はある日、秘密のSMクラブに入会する。派遣された美しい「女王」たち(大地真央、寺島しのぶ、冨永愛ら)は片山を喜ばせるが、徐々に職場や家庭にも出現し、日常生活にも支障が出始める。困った片山は中止を申し入れるが…。タイトル「R100」は、百歳未満は観覧禁止を意味する。その真意は…。ワーナー・ブラザース映画配給、1時間40分。

 

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