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被曝と健康、医療をもう一度、考える 1.その基本




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福島事故から2年半を経て、当初は「一般人の被曝限度は定められていない」というような暴論まであったが、徐々に法治国家としての認識が広まっている.原発事故では、事故そのもの、福島原発の後処理、汚染水の漏洩、原発再開問題、それに原発の従業員の被曝と健康など多くの問題があるが、なんといっても一般人の被曝と児童生徒の被曝や健康問題が現在でももっとも大切であることは言うまでも無い.

そこで、ここで全体を被曝と規制、治療の問題を中心にまとめた.

まず第一章は被曝の概念と規制値の関係である.人類が原子力を発見して以来、被曝と健康の問題は常に重要な問題であり、第二次世界大戦後に原発が増えてさらにその重要性が増してきた.これについて国際的には、「正当化の原理」、「線量限度」、「免除レベル」という基幹的な概念が作られた.

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まず、被曝は健康に対する損害であるという認識について国際的に合意が行われ、それにも基づいて「健康に影響があるが我慢できるレベル」を「線量限度」、「これ以下は健康に影響がないと考えられ、受け入れられるレベル」を「免除レベル」とした。

そして「望ましくないが社会的に耐えられる線量」をどのような基本概念で決めるかについて、「メリットが損害を上回ること」という正当化の原理が立てられた.現在、日本の一部の医師、専門家以外で世界で正当化の原理に意義をいう人はい無いと考えられている.

世界の統一された概念ができて、海外旅行、外国からの物品や食料品の輸出入、外地への赴任などについてのトラブルがなくなった。また国内ではここに示した「放射線障害防止規則」(個々では事故後の改訂が行われたものを示した)の第一章第一条に示されているように、被曝は損害であるということから、「電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない」と規定されている.

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日本ではまだ民主的手続きの意味が理解されていないが、法令は「政府がお上として国民に守る事を命じる」というものではなく、「国民同士の約束であり、政府などはそれを国民から委託されて守らせる役割」を負っている.また専門家は法令を遵守する精神をもち、具体的に指導的言動が求められる.

その意味で、原子力関係者や医師や自治体首長や役人まで法令を無視しても良いという発言をくり返したのは残念な事だった。

(平成25101日)


武田邦彦



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