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日米2プラス2 「備え」は確かに大事だが

2013年10月04日(最終更新 2013年10月04日 10時36分)

 日米両政府は3日、東京都内で外交・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、会議での合意事項をまとめた共同文書を発表した。

 共同文書は、沖縄の基地負担軽減策や在日米軍再編など多岐にわたるが、中でも注目されるのは、日米防衛協力指針(ガイドライン)の再改定に着手することで正式に合意したことだ。

 ガイドラインとは、日米安保条約に基づき、日本が外国の軍隊に攻め込まれた場合などに、自衛隊と米軍の役割と協力のあり方を定めた文書である。

 もともと、冷戦時代にソ連の日本侵攻を想定してつくられたが、冷戦終結後の1997年、朝鮮半島有事をにらんだ内容に改定されている。

 今回の2プラス2では、これから現行のガイドラインの改定作業を進め、2014年末までに再改定を完了することを確認した。予定通りに進めば、17年ぶりの改定となる。

 ガイドラインの再改定作業で、北朝鮮の核・ミサイル開発に加えて、日米両政府が新たに対応すべき事態と想定しているのは、アジア太平洋地域における中国の急速な軍事的台頭である。

 発表された共同文書では、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国の活動を念頭に、「海洋での力による安定を損ねる行動」を批判した。そのうえで、中国に対し、国際的な行動規範の順守や、軍事上の透明性向上を促している。

 中国の強引な海洋進出や不透明な軍備増強が、現在の日本にとって安全保障上の懸念であることは間違いない。日米がガイドライン改定で、中国に焦点を当てた備えを充実させるのは理解できる。

 しかし気になるのは、集団的自衛権の行使容認や敵基地攻撃能力の保有など、安倍晋三政権や自民党が目指している安全保障政策の重大な転換が、ガイドライン再改定と一体となって検討されようとしていることである。

 南西諸島周辺での監視活動の強化、基地・施設の共同使用に加え、サイバー攻撃への対処まで、従来の枠を超える米軍と自衛隊の一体化が、国民の議論が不十分なまま、すべて「中国への対応」の旗印の下に進められるのではないか。そんな疑念が拭えない。

 共同文書にも、日本が集団的自衛権行使容認を検討していることを、米国側が「歓迎する」とのくだりがある。米国の支持をアピールすることで、行使容認の環境づくりをしている印象を受ける。

 安全保障で重要なのは、関与(エンゲージ)と防御(ヘッジ)のバランスだとされる。ガイドラインの再改定で防御は強化しても、もう一方の外交的対話の方が滞っていては、いたずらに相手の不信を招き、緊張はかえって高まる。

 「備え」は確かに大事だ。しかし、それだけではバランスを欠く。防衛強化と同時に、緊張のもとを取り除くための外交努力も一層強めなければならない。


=2013/10/04付 西日本新聞朝刊=

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