韓国と米国の国防相は2日に安全保障協議会を開催し、戦時作戦統制権の取り扱いについて来年前半には最終的な結論を下すことで合意した。協議会で両国はこの問題を取り扱う共同の実務担当チームを近く立ち上げ、韓国軍における準備体制をチェックすることや、韓国軍が統制権を引き継ぐのに最も適した時期について検討を重ねた上で最終決定を下すことなどを決めた。
戦時作戦統制権の韓国軍への移管は今のところ2015年12月に予定されているが、朴槿恵(パク・クンヘ)政権はこの時期を先送りすることを米国側に提案している。米国は当初この提案に難色を示していたが、韓国側が先送りの理由として提示した複数の問題点について、両国が共同で検討することには応じる方針を決めた。米国の対応の変化は韓国にとって意味のある進展といえるだろう。
核とミサイルによる北朝鮮の脅威は、韓米両国が統制権移管問題について最初に協議を始めた2000年に比べると非常に深刻なものとなっている。北朝鮮は2006年、09年、そして今年2月の3回にわたり核実験を行って「核保有国」となり、また昨年12月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)クラスの長距離ロケットの打ち上げにも成功した。韓米両国は今回の協議会で、北朝鮮による核兵器使用の兆候が感知された場合、両国が共同で地上、海上、上空における使用可能な戦力を総動員し、先制攻撃を行うことを決めた。この戦略が成功を収めるには、北朝鮮が核やミサイルを使用する兆候を事前に、また正確に把握しなければならず、それには人工衛星などを駆使した米国の情報収集、監視、通信などの能力が必要不可欠となってくる。統制権が韓国軍に移管されたからといってこれらの分野での協力が途絶えるわけではないが、現在の韓米連合司令部体制のような全面的協力が可能かどうかについてはどうしても疑問が残る。
韓半島(朝鮮半島)をめぐる状況が緊迫しているだけに、両国は今後統制権に関する協議を事実上の白紙状態から始める覚悟が必要だ。協議によって両国は、統制権の移管が安全保障上の空白や北朝鮮の誤った判断などを呼び起こさないようあらゆる事態を想定し、統制権自体の最適なモデルと移管の適切な時期を決めなければならない。その際、韓国政府は大韓民国が「安全保障のただ乗り」をする国ではないという事実を示す必要もあるだろう。両国がパートナーとしての信頼を失ってしまえば、巨額の先端兵器や数多くの作戦計画など全てが一瞬にして無意味なものとなりかねない。