維新の会:堺市長選完敗 あかんわ橋下さん 人気支えた女性たち離反 ぐらつく地方議員
2013年10月04日
神戸の矢田立郎市長も竹山氏の総決起集会に出席した。27日に投開票される同市長選で維新は独自候補を擁立しない方針だが、参院選では将来の道州制導入を公約し、関西第2の大都市・神戸での影響力拡大に積極的。大阪、神戸両市長の間に火花が散る。
堺市長選敗北について維新関係者には「橋下人気うんぬんより『自由都市』のプライドが高い堺の特殊事情」と平静を装う向きがあるが、実際には大阪市の方が孤立しかねない状況にあるのだ。
それでも市議会で一定勢力を占める地方議員の支持が盤石ならいいが、橋下氏のおひざ元からして危うい。通天閣の下、古い町並みが広がる大阪市浪速区選出の冨岡朋治市議(71)は従軍慰安婦発言による逆風に悩む後援会幹部から「組織が持たない」と言われ、6月に維新離脱を申し出ると除名処分になった。
長年、自治会役員を務め市議当選後は自民党に所属していた。10年に「橋下氏とともに市政改革を」と支持者の後押しで維新へ。だが今はこう語る。「橋下氏は自治会や住民団体を『既得権益にしがみつく旧勢力』と見なし、補助金を削減するなど大なたを振るってきた。だから最近は僕の支持者の間で不満が募っていた。慰安婦発言でそれが爆発したかたちですわ」
冨岡氏の地元にとどまらない。市長就任以降、公立幼稚園の民営化や高齢者の地下鉄・バス無料券の廃止などの改革を推し進める橋下氏だが、住民説明会に反対の市民が詰めかけ「もう支持しない」との声がじわじわと広がる。堺市長選後、冨岡氏の事務所には元同僚の市議から「俺たち、これからどうしたらいいんや」と相談と愚痴を兼ねた電話がかかってくる。「それだけ内部がぐらついとるんやろ」
「橋下氏は国政に打って出るのが早過ぎた。政局に関わっている間、都構想をはじめ大阪のことがどうしてもおろそかになってしまった。橋下氏は都構想を『地域主権実現の方策』と言うが、そこを理解せず『橋下さんが言っているから賛成』という人もかなりいる。だから橋下人気が低下すると都構想への支持も下がる」。そう指摘するのは大阪府市特別顧問で脱原発・エネルギー政策を提言している元経済産業省官僚の古賀茂明氏だ。「維新は旧太陽の党と合流して政策がぐちゃぐちゃになってしまった。橋下氏は維新を解体してでも国政からいったん手を引き、都構想の立て直しに専念すべきだ。国政に挑むのはそれからです」