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チェルノブイリ事故による |
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◆ 論文で紹介します(翻訳:伊澤) ◆ | ||||||||||||
Urinary bladder carcinogenesis induced by chronic exposure to persistent low-dose ionizing radiation after Chernobyl accident Shoji Fukushima 大阪市立大学 |
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泌尿器学研究所(ウクライナ医学会)(ウクライナ、キエフ)は良性前立腺肥大で前立腺切除を受けた患者を1994年−2006年にかけて集め、研究対象にした。男性559人、女性33人、計592人になった。 長期、低線量の被曝が今までにはなかった膀胱の病気、いわゆるチェルノブイリ膀胱炎を起こしていることを初めて立証した。
要 旨
膀胱尿路上皮細胞と血管細胞、繊維芽細胞、リンパ球などから成る粘膜固有層にも、長期間低線量被曝の影響が現れている。少なくとも2つのシグナル系(P38MAPKとnuclear-factor-kβ)と成長ホルモンレセプターの活性化、酸化的ストレスがセシウム137汚染地域に住む人々の膀胱上皮細胞で生じている。 それは、増殖性の非定型的な膀胱炎で、ヒトでは前ガン病変だと考えられる。 細胞周期の異常とそれに伴う細胞分裂の亢進、ユギキチン化の増大、DNA修復の不全などが膀胱尿路上皮細胞で生じている。長期低レベル被曝の影響は粘膜層にも及び、血管新生、細胞外マトリックスの変化などをもたらし、それがイニシエートされた細胞をより悪性な細胞へ進行させるとともに浸潤させていく。
解 説
飯館村の土壌汚染レベルは、148万ベクレル/m2に達しています。この論文の最高レベル以上です。 ヒト尿中のセシウム濃度が1.23ベクレル/Lという低い値からこの病気(チェルノブイリ膀胱炎(前ガン病変))は始まっており、ガンがどの様に進行していくのか、という新しい見地を提供してくれています。低レベルでさえ20年にもわたって被曝を受け続けると、膀胱(セシウムが集まる場所)の細胞自体にも異常が数多くでてくるし(イニシエートを受けた細胞)、まわりの細胞も異常を来たし、イニシエートを受けた細胞がより悪性なガンに進行していくのを促進する役割を持つ、とこの論文は示しています。福島市内の6〜16歳の子ども10人の尿を検査したところ、全員からセシウムが検出され、セシウム134が最大で1.13ベクレル/L、セシウム137が1.30ベクレル/Lでした。 |
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