尾高芸術監督が4シーズン目に選んだ新制作演目の一つがコルンゴルトの『死の都』です。コルンゴルトは時代に翻弄された作曲家でした。1920年23歳でオペラ『死の都』が大成功をおさめますが、その後アメリカへ亡命。そこでハリウッドの映画音楽などを手がけたため、戦後のクラシック音楽界から認められず不遇な晩年を送りました。ドイツでも彼の作品はナチスによって上演を禁じられ、一時は忘れさられましたが、70年代から欧米でコルンゴルト再評価の動きが徐々に高まり、オペラ、コンサート、録音など数多く取り上げられるようになりました。
本公演は、カスパー・ホルテン演出、フィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)からのプロダクション・レンタルでの上演となります。2012/2013シーズンより英国ロイヤルオペラのディレクターに就任したホルテンは明解な解釈でありながら独特な作風が話題になるほど、気鋭の演出家として世界的に注目されています。指揮は11年『ルサルカ』が大好評を博したヤロスラフ・キズリンクが新国立劇場再登場です。この作品では主役のソプラノとテノールの難しさゆえ、公演頻度が少ないとも言われています。この両役で登場するのは、パウル役トルステン・ケール、マリエッタ/マリー役はミーガン・ミラー。またフランク/フリッツ役にはトーマス・ヨハネス・マイヤーが出演します。
【指揮】ヤロスラフ・キズリング
【演出】カスパー・ホルテン
【美術】エス・デヴリン
【衣裳】カトリーナ・リンゼイ
【照明】ヴォルフガング・ゲッベル
(指 揮) ヤロスラフ・キズリング | (演 出) カスパー・ホルテン |
【パウル】トルステン・ケール
【マリエッタ/マリー】ミーガン・ミラー
【フランク/フリッツ】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ブリギッタ】山下牧子
【ガストン/ヴィクトリン】小原啓楼
【ユリエッテ】平井香織
【アルバート伯爵】 糸賀修平
【リュシエンヌ】小野和歌子
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京交響楽団
※本公演はフィンランド国立歌劇場(ヘルシンキ)からのプロダクション・レンタルでの上演となります。
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【第1幕】19世紀末、ベルギーの古都ブルージュ。美しい妻マリーを亡くしたパウルは、彼女の遺品に囲まれた「思い出の部屋」に引き籠り、悲しみに耽っている。友人のフランクに「彼女は生きている」と幻想の世界を語り始める。一方、フランクは「死者は戻らないのだから早く立ち直るよう」と忠告するがパウルは耳を貸さない。ある日、パウルは街でマリーに瓜二つの踊り子マリエッタに出会い、家に招待する。ひとりになると、肖像画の中のマリーが動き出してパウルに話しかける。夢と現実の見境がつかなくなった彼はその場にうずくまる。
【第2幕】幻想の中で、パウルはマリエッタを追いブルージュの運河沿いをさまよっている。マリエッタをめぐり、友人フランクとは恋敵になる。月の光にマリエッタが現れ、マイアベーアのオペラ『悪魔ロベール』の尼僧が生き返り、男たちを誘惑する場面を演じる。マリエッタと二人きりになったパウルは、自分が愛するのは亡き妻マリーであって、面影だけ似ている君ではないと伝える。マリエッタは悔しさのあまりパウルを誘惑し、彼はその魅力に陥落してしまう。
【第3幕】翌朝。パウルは、亡き妻と過ごした家でマリエッタと一夜を過ごしたことを後悔している。自分の美しさを誇示するマリエッタは、パウルの敬虔な信仰心を茶化し、故人の遺品に囲まれた生活を嘲笑する。怒ったパウルは、マリーの遺髪を首に巻いて踊るマリエッタを絞め殺してしまう。夢から覚めふと我に返ると、マリエッタの姿はなく、全て幻想だったことに気付く。マリエッタが忘れ物の日傘を取りに立ち寄り、続いて友人フランクが訪れる。パウルは、死者への想いと決別し、友人と共に死の都ブルージュを去る。
席種 | S席 | A席 | B席 | C席 | D席 |
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料金 | 26,250 | 21,000 | 14,700 | 8,400 | 5,250 |
*料金は税込みです。
会員先行販売期間:2013年9月29日(日)〜10月9日(水)
一般発売日:2013年10月13日(日)