10月3日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル、対ユーロで8カ月ぶり安値-米政府機関閉鎖で
ニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで下落。8カ月ぶりの安値を付けた。米政府機関の一部閉鎖を受けて景気減速懸念が強まり、金融当局が緩和政策の縮小を先送りするとの思惑からドル売りが優勢になった。
新規失業保険申請件数が増加し、ドルは対ユーロで下げ幅を拡大した。ユーロ圏サービス業の9月の経済活動 が当初見積もり以上に拡大したこともユーロの支援材料。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジのチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏(ワシントン在住)は電話インタビューで、「政府機関閉鎖で投資家はドルやドル建て資産に対して慎重になっている。政府機関閉鎖は米経済とドルにマイナスなだけでなく、債務上限引き上げについて、交渉を長引かせずに合意に至ることができるのかどうか深刻な疑念を抱かせている」と語った。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで前日比0.3%下落の1ユーロ=1.3619ドル。一時は2月4日以来の安値を付けた。対円では0.1%安の1ドル=97円27銭。円は対ユーロで0.2%下げて1ユーロ=132円46銭。
ドルに対するユーロの相対力指数(RSI、期間14日)は70.7に上昇。相場上昇が急速に行き過ぎたことを示唆する水準と言われる70を超えた。
経済統計英マークイット・エコノミクスが発表した9月のユーロ圏サービス業景気指数(改定値)は52.2と、先月23日発表の速報値(52.1)から上方修正された。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は30万8000件に増加した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は31万5000件への増加だった。前週は30万7000件に修正(速報30万5000件)された。
労働省は4日に予定されていた9月の雇用統計の発表を取りやめることを明らかにした。政府機関の一部閉鎖が影響した。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は0.1%低下の1007.87。一時は9月19日以来の低水準となった。
ベイナー下院議長(共和、オハイオ州)ら議会指導者は2日、オバマ大統領と1時間余り会談。オバマ大統領は政府機関の閉鎖が解除され、無条件で債務上限が引き上げられるまでは共和党と交渉するつもりはないと明言している。
来週にも提示下院共和党の指導部は、予算交渉に応じるようオバマ大統領に迫るため、債務上限を引き上げる措置を来週にも提案することを計画している。この戦略に詳しい関係者3人が明らかにした。
ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は「債務上限引き上げ問題と政府機関閉鎖はドルがユーロに対して強くなれない大きな理由だ。市場は米失業保険統計に一時的に反応したが、政府と議会が合意に至るかどうかがもっと大きな注目材料だ」と述べた。
日本の財務省が発表した統計によると、国内投資家は9月27日に終了した週に6721億円相当の海外債券を購入した。これは円売り材料となった。
原題:Dollar Falls to 8-Month Low on Government Shutdown; RealDrops(抜粋)
◎米国株:下落、低調な非製造業景況指数で-政府閉鎖への懸念も
米株式相場は下落。非製造業の景況指数が市場予想を下回ったほか、予算協議の行き詰まりが影響し経済がリセッション(景気後退)に陥りかねないとの懸念が強まったことが背景にある。S&P500種 株価指数はここ1カ月で最大の下げとなった。
イーライ・リリーが安い。同社は2014年の売上高目標の達成は「厳しい」との見方を示した。ヘリコプターや航空機エンジンなどを米軍に供給するユナイテッド・テクノロジーズは、政府機関の閉鎖が長期化した場合、約5000人の従業員の一時帰休を余儀なくされることを明らかにした。ボーイングなど産業株も大きく下落。パルト・グループをはじめ建設株も売られた。
S&P500種 株価指数は前日比0.9%安の1678.66。下落率は8月27日以降で最大となった。ダウ工業株30種平均は136.66ドル(0.9%)下げて14996.48ドル。
テーミス・トレーディングのパートナー兼株式トレーディング共同責任者のジョゼフ・サルッツィ氏は電話取材で、「皆ようやく眉をひそめ始めたようだ」とし、「この問題が長引けばそれだけ、市場参加者は神経質になる。神経質になれば考える前に、まずは売りに動く」と述べた。
予算協議オバマ大統領は政府機関閉鎖の「解決方法はただ1つ」だとし、ベイナー下院議長が無条件での暫定予算案の採決を容認することだと指摘した。
S&P500種は一時1.4%安まで下げたが、その後下げ幅を縮めた。ベイナー議長の報道官が、議長に政府をデフォルト(債務不履行)に陥らせる考えはないと発言すると、相場は下げ渋りに転じた。
下院議長のスティール報道官は、「ベイナー議長は米国がデフォルト(債務不履行)に陥ることはないと常に述べてきた。だが債務上限を引き上げるのであれば、われわれは米国の債務や赤字の要因に対処する必要がある」と述べた。
財務省は、債務上限の突破を回避する特別措置は今月17日までに尽きるとこれまでに指摘している。この日は債務上限を引き上げずにデフォルトに陥った場合、「壊滅的な事態になる恐れ」があるとのリポートを発表した。
同省はこの中で、「デフォルトは経済に深刻な影響を及ぼす恐れがあるだけでなく、金利上昇や投資削減、債務返済の増大、さらには経済成長の減速といった打撃が次の世代まで続く恐れがある」と警告した。
デフォルト懸念グローバル・ファイナンシャル・プライベート・キャピタルのチーフストラテジスト、マイク・ソレンティーノ氏は「債務上限の問題は懸念材料だ」と指摘。「この問題と政府の機能不全を解決できれば、この先の安全性がずっと高まる」と述べた。
米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合景況指数は54.4と、前月の58.6から低下11。下げ幅は景気後退期にあった2008年11月以来の最大を記録した。
S&P500種の業種別10指数 は全て下落。公益や産業関連が特に下げた。ボーイングは2.2%安の115.24ドルと、下落率はダウ平均で最大となった。
ダウ輸送株平均は1.1%下げ、3週間ぶり安値となった。
S&Pスーパーコンポジット住宅建設指数は1.9%安。構成する11銘柄全てが下げた。パルト・グループは2.4%安の16.50ドル。
ユナイテッド・テクノロジーズ は1.2%安の103.69ドル。イーライ・リリーは3.4%安の48.80ドルだった。
原題:S&P 500 Falls Most in a Month on Services Data, FederalShutdown(抜粋)
◎米国債:10年債利回り7週ぶり低水準、政府閉鎖や債務上限問題で
米国債 相場は上昇。10年債利回りは7週ぶりの低水準をつけた。予算協議の行き詰まりによる政府機関の一部閉鎖は3日目に入った。朝方発表された米国の非製造業景況指数は拡大ペースが予想を下回った。
10年債利回りは一時の上げを消した。投資家は政府機関の閉鎖に加えて、米国の債務上限問題についても動向を注視している。米財務省は債務上限の突破を回避する特別措置は今月17日までに尽きると述べている。同省はリポートを発表しデフォルト(債務不履行)に陥った場合の悪影響は数十年間続く恐れがあると指摘した。
SEIインベストメンツ(ペンシルベニア州)で80億ドル相当の資産運用に携わるショーン・シムコ氏は、「市場参加者は弱さが見える経済統計と政府機関閉鎖でプレッシャーを感じ始めている」と述べ、「米国債に買いが入り始めているのはこれが理由だ」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して2.61%。一時は8月12日以来の低水準となる2.58%をつけた。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格はこの日3/32上げて99 3/32。
TBレート10月24日に償還期限を迎える財務省短期証券(TB)のレートは0.13%に上昇。9月27日にはマイナス0.01%だった。10月17日に償還期限を迎えるTBレートは0.11%。9月24日はマイナス0.01%だった。いずれのレートも10月1日は昨年12月以来の高水準となる0.14%をつけた。
投資家は債務上限引き上げの期限とされる10月17日前後に償還期限を迎えるTBのデフォルトリスクに備えており、1カ月物と3カ月物TBのレート差は2008年の金融危機以来で最大となった。
BNYメロン・キャピタル・マーケッツの米国債トレーディング責任者、ダン・マルホランド氏は「債務が上限を突破する恐れがある日とその周辺時期に償還期限を迎えるTBが避けられている」と述べ、「償還期間の短いこうしたTBの多くは通常、担保目的で保管されている。投資家ならば担保の支払いを履行できなくなるような状況は避けたい」と続けた。
3カ月物TBのレート は9月27日にマイナス0.0101%と、年初来の最低をつけた。今年の平均値は0.048%となっている。
米国の非製造業景況指数米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合景況指数は54.4と、前月の58.6から低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は57だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
米労働省は4日に予定されていた9月の雇用統計の発表を取りやめることを明らかし、新たな発表日程はまだ決まっていないとの声明を発表した。
1日に始まった米政府機関の一部閉鎖が1週間続けば米国内総生産(GDP)伸び率を0.1ポイント押し下げる見通しだ。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査で、予想中央値が示された。
また、米連邦政府機関が一部閉鎖された場合、当初の経済的損失は1日当たり少なくとも3億ドルに上るとの試算をIHSが示した。
米財務省は3日、議会が連邦債務の上限を引き上げずに米国がデフォルトに陥った場合、「壊滅的な事態になる恐れ」があるとのリポートを発表した。財務省はこの中で、「デフォルトは経済に深刻な影響を及ぼす恐れがあるだけでなく、金利上昇や投資削減、債務返済の増大、さらには経済成長の減速といった打撃が次の世代まで続く恐れがある」と警告した。
原題:U.S. 10-Year Yield at 7-Week Low Amid Shutdown; Bill RatesRise(抜粋)
◎NY金:反落、中国で需要衰退の兆し-「弱気ムード」とトレーダー
ニューヨーク金先物相場は反落。世界2位の金購入国である中国の需要が衰退しつつある兆候が嫌気された。前日のマコーリー・グループの発表によると、国際金価格に比べた上海先物取引所の金プレミアムは9月末にオンス当たり10ドルを割り込み、7月の40ドル超から低下した。
フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レシュ氏(シカゴ在勤)は「この水準でも中国からの需要がみられないのは、誰もが価格の一段安を見込んでいるということだ」と述べた。「市場では弱気ムードが続いている」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.2%安の1オンス=1317.60ドルで終了。一時は1.4%下げた。
原題:Gold Falls for Third Time in Four Days on Lower ChineseDemand(抜粋)
◎NY原油:反落、政府閉鎖の長期化を警戒-米統計も売り材料
ニューヨーク原油先物相場は反落。米政府機関の閉鎖が長期化すれば経済成長を抑制し、燃料需要が減退するとの見方が広がった。米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業景況指数は予想を下回り、売り手掛かりとなった。
ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチ(マサチューセッツ州ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は「トレーダーらは政府機関の閉鎖のことで頭がいっぱいだ」と指摘。「経済、および石油需要に影響が及ぶと考えられる。ISMの数字も弱かった」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前日比79セント(0.76%)安の1バレル=103.31ドルで終了。引け後の電子取引では一段安の展開。
原題:Crude Drops Third Day This Week as U.S. Shutdown May CurbDemand(抜粋)
◎欧州株:続落、米政府閉鎖継続と米サービス業統計の悪化を嫌気
3日の欧州株式 相場は下げ、指標のストックス欧州600指数は続落した。政府機関の一部閉鎖が3日目を迎えた米国で、サービス業の経済活動を示す統計が予想以上に悪化したことが背景にある。
ドイツの医薬品用容器メーカー、ゲレシェイマー は2%安。同銘柄の投資判断をクレディ・スイス・グループが引き下げた。フランスの電機メーカー、シュナイダーエレクトリックは3.2%下落。一方、英保険会社アビバは1.4%上昇。米事業の売却益26億ドルが買い材料。英石油会社BPは1.1%上げた。
ストックス欧州600指数 は前日比0.4%安の309.55と、先月9日以来の安値で引けた。前日は8月30日以来の大幅安だった。
ノッツ・ストゥッキ(ジュネーブ)で資産運用に携わるピエール・ムートン氏は「米政府閉鎖が経済成長に打撃を与えるだろうが、その影響は限定的となる」とし、「政治的なこう着が債務上限引き上げ協議に及ぶのではと心配している」と語った。
米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合景況指数は54.4と、前月の58.6から低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は57だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
3日の西欧市場では、18カ国中14カ国で主要株価指数が下落した。
原題:European Stocks Decline Second Day on U.S.Shutdown, ISM Report(抜粋)
◎欧州債:ドイツ10年債利回り、1週ぶり高水準-景気改善の兆候で
3日の欧州債市場ではドイツ10年債 利回りが一時、1週間ぶりの高水準に上昇した。ユーロ圏で小売売上高が予想を上回り、サービス業の経済活動が当初見積もり以上に拡大したことを背景に、域内で最も安全とされる同国債の需要が減退した。
ポルトガル国債は上昇。同国政府はこの日、支援プログラムの審査結果を報告する。フランス10年債は3日続落。同国はこの日、2023年と2029年に満期を迎える国債を計74億6000万ユーロ発行した。5年物と10年物の国債入札を実施したスペインの国債は下げ幅を縮小した。米政府機関の閉鎖問題が債務上限引き上げに絡めて議論されるかどうかを見極めようとする動きが見られた。
KBCバンクの債券ストラテジスト、マティアス・ファンデルユフト氏は「総体的に少し強めの欧州経済指標がドイツ国債への重しとなっている」とし、「売りは極めて限定的で、中核国の国債には引き続き米国の財政問題が支援材料になるとみている。スペインの国債発行は順調だった」と語った。
ロンドン時間午後4時20分現在、ドイツ10年債利回り は1.81%で、前日からほぼ変わらず。一時は1.85%と、先月25日以来の高水準となった。同国債(表面利率2%、2023年8月償還)価格は101.715。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスット)のこの日の発表によると、8月のユーロ圏小売売上高指数は前月比0.7%上昇。伸び率は7月の0.5%(改定)とエコノミスト予想の0.2%をいずれも上回った。英マークイット・エコノミクスが発表した9月のユーロ圏サービス業景気指数(改定値)は52.2と、先月23日発表の速報値(52.1)から上方修正された。
英国債相場は前日からほぼ変わらず。10年債利回りは2.70%。先月30日には2.67%まで下げ、8月27日以来の低水準となっていた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は96.125。
原題:Bund Yields Reach One-Week High AfterRetail Sales, Service Data(抜粋)U.K. Pound Weakens After Climbing to Nine-MonthHigh This Week(抜粋)
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更新日時: 2013/10/04 06:49 JST