(桃井 隆介さん)

<ほかの人と異なる環境、自衛隊の学校へ進学>
自衛隊の学校である「陸上自衛隊少年工科学校(現 陸上自衛隊高等工科学校)」を卒業して、今は防衛大学校の3年生です。
そもそも少年工科学校の紹介を受けたのは父からでした。
中1の頃にその学校のことを聞かされ、それは何?と聞かれたら自衛隊の学校だといいました。自衛隊といえば厳しいイメージがあったので、ずっと断り続けていたのですが中3になって卒業後の進路を決める際に探してもどこもパッとしませんでした。
普通の高校には興味を持てなかったのですが、どこへ行っても勉強して部活して高校を終えたら大学に行くという平凡な生活に思えました。
普通の人生を送るよりもユニークな生活を送りたいと思っていました。
違った経験がしたいと思い自衛隊の学校を選びました。

全寮制の学校なので家族と別れることになりますが、それも面白いと思いました。
ただ、厳しいと言われている自衛隊の生活を強いられるので耐えられるのかという不安は少しありました。


<父の言葉を思い出し、挫折を乗り越えた>
入学した最初の年は後悔の連続でした。
たとえばいままで私は腕立て伏せ100回ぐらいが一番いいレベルだったのですが、いざ入学してみると500回とか1000回が当たり前、というのが辛かったです。
何度も挫折しそうになりましたが父の「やるからには最後までやれ」という言葉を思い出しもちこたえました。

ここで諦めてしまったら、ユニークな環境にせっかく来たのに、変われないまま元に戻ってしまいます。そのほうが怖かったです。

少年工科学校は、神奈川県立の通信制高校と提携していて、高卒資格も取得することができます。
卒業して部隊にいってみないと、自分に向いているかわからないと思いました。
授業は高校の授業と同じで朝から午後まで勉強します。
そのあと部活をして量に戻って食事とお風呂を済ませます。寮の生活は自衛隊規則を重視します。

少年工科学校を卒業してから考えたときに父と話す機会がありました。
「一応舞台に行って合わなかったらやめようかな」と言ったら「何事も10年はやらないと身に付かない」と言われました。
今は自衛隊という組織に即していますが、絵かきの仕事という夢もあります。
その中で、自衛隊の訓練や勉強もあります。自衛隊に行くなら、立派な大人になりたいと思います。
防衛大卒業後は、九州の久留米の幹部学校で1年間の教育を受けてから配属が決定します。

今までも、進路を選ぶとき、父は人生の相談相手としていい指針になってくれました。
ひとつの道を立ててくれる存在です。
私より何十年も長く生きているので、物の見方が私より上だと思います。
防衛大へ進路を決めた時に、このことを実感しました。