【イケメンドクター・吉田眞の医学情報のウソ！ホント？】

“病気のデパート”である高齢者を抱える老人専門の病院は、薬や点滴、手術にリハビリと、さまざまなケアで保険点数を稼げる――と思われがちですが、日本の医療制度はそんなに甘くありません。逼迫している社会保障費を少しでも軽減するため、国は老人病院に対して“足かせ”を施しているからです。

　老人病院は「療養型病床」と呼ばれる病院の形態で、一般病院のように「長期入院で報酬が急激に落ちる」システムではありません。療養型病院は長期の入院でも一定額の報酬が国から支払われますが、その代わりに報酬から患者さんの薬や検査、処置の費用などを全て捻出しなければなりません。つまり病院の売り上げを伸ばすためには、医療のコストカットを行わなければならないのです。

　残念なことですが、老人病院に入院した患者さんは、薬の量は減り、検査やリハビリもそうひんぱんには受けられなくなります。そうした経営を心がけないと、老人病院はすぐに経営危機に陥ってしまうのです。

☆よしだ・しん＝総合診療科医を経て、現在は精神科医。非常勤医師として、刑務所、少年院、ホームレス支援施設、高齢者の在宅診察などに従事し、精神医療のディープな部分につかる。２００９年にはラジオパーソナリティーを務めた。ロックバンド「医療講義」のボーカルと作詞・作曲を担当。