【カープ担当記者が振り返る前田智徳】
長嶋茂雄氏(巨人軍終身名誉監督)が“浪人”していたころのことだ。入団間もない前田智を広島市民球場で取材した後、感心しながら「彼は野球がすべて。頭の中は野球だけで、女性のことなどはこれっぽっちもない。間違いなく、彼は童貞ですよ」と興奮しながら、いつも以上に甲高い声で話したことがあった。
あのミスターが“前田智童貞説”をぶち上げた。これこそまさに九スポ(東スポ)ネタだ――と、こちらも大興奮し記事にした。すると次の日、掲載された新聞を読んだ前田智が「童貞って、なんですか!」と怒りの形相で迫ってきた。「いや、それだけ野球に真剣だってことだよ」などと苦し紛れの弁明を連発してなんとかその場をやり過ごしたが、あの時は本当に肝を冷やした。
入団当初から頑固、偏屈、変わり者とあまりよろしくないイメージが広がった。たしかにその通り。天才だから?か、何を考えているかわからないところがある。だが優しい面もあった。記事のことであるコーチに怒られ、硬球で頭をガツンとやられた直後には「これで仲間だね」と慰めてくれた。
太っているにもかかわらず当時はやっていたボーダー柄のシャツを着て球場に行き、記者仲間に「熱帯魚みたい、いや熱帯豚(ねったいとん)だ」とさんざんからかわれて落ち込んでいるところにやってきて「流行の最先端。かっこいいシャツですね」と言ってくれたのもうれしかった。
あまりにも個性が強すぎて、他人の反感を買うことも少なくなかった。それでも野球に関しては誰もが一目置いていた。ある主力選手が「アイツ(前田智)とは風呂場でも一緒になりたくない」と吐き捨てた後「それでも野球では見習わなければならないところがたくさんある」と話したことは、いまでも忘れられない。
2度の大きなけががなければ、イチロー(ヤンキース)を上回る偉大な結果を残していたに違いない。万全の野球人生でなかったのは残念だが、それでもここまでの働きは称賛に値する。第2の人生でも頑張ってほしい。
(88~93年担当 内川統詔)
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