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汚染水が海に…「コントロール」は本当?
福島第一原発の汚染水貯蔵タンクから高濃度の汚染水約430リットルが漏れていることがわかった。このタンクは、今年8月に汚染水が漏れたタンクよりも海に近く、海から約300メートルの位置にある。タンクの脇には海へとつながる排水溝があり、東京電力は一部の汚染水が排水溝を通じて海に流出したとみている。
東電は3日午前、緊急会見を開いた。
「新たなに漏えいが生じたことを報告しなければならないことを大変申し訳なく、おわび申し上げます。量の問題はございますけど、これは側溝から海へ出ていると考えます」「再発防止策は、今回(の会見)は発生の状況説明ということですので、まだお示ししていませんが、いずれにしても今回のことをふまえて、しっかり検討して対応したいと思います」
汚染水が漏れたタンクのすぐ脇には、海へとつながっている排水路があり、この排水路を伝って高濃度の汚染水の一部が海に流れ出たとみられている。今回、漏れた汚染水は、ベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり58万ベクレル含まれる高濃度のものだ。
福島第一原発では、タンクの周りを囲う「せき」にたまった雨水が大雨の影響で漏れ出さないよう、タンクの中に移す作業が行われていたが、作業にはある問題があった。タンクが置かれていたのは傾斜のある場所で、タンク内の水位にも傾きが生じる。今回は、大量の雨水をためるため、ギリギリまで水を入れていたが、タンクにためられる水の量を甘く見積もったため、最も低い場所にあったタンクでは容量を超えてあふれたとみられている。
また、汚染水が漏れたタンクの脇には高さ30センチの「せき」があり、その外側には「側溝」があった。東電によると、天板と側面の隙間からあふれた汚染水は、タンクの側面を伝って点検用の足場へ落ちた。さらに、足場の外側の穴から「せき」の外側にしたたり落ち、汚染水の一部が側溝へと流れ込んだとみられている。
タンクを囲う「せき」の外に漏れ出したのは推定で約430リットルで、東電はその一部は排水路を通じて海へ流出したとみていて、側溝に土のうを積むなどして対策を行った。また、海水を調べたところ、放射性物質は検出されなかった。排水路がある場所は、安倍首相がIOC(=国際オリンピック委員会)総会で「完全にブロックされている」と語った港湾の外側だった。
この問題について、菅官房長官は3日、「実際に漏れているわけから、対応策が十分だったとは思っていません。政府として二度とこういうことが起こらないように最善の努力をしていく」と述べる一方で、「(Q状況はコントロールされているという政府としての認識は変わらない?)全体としてはコントロールできていると思っています」と述べている。
こうした中、福島県相馬市の松川浦漁港では3日、今月8日から始まる予定のシラス漁の試験操業を前に漁師からは「やっぱり不安だな。水漏れで海に流れたとなったら、今までのが水の泡になる」「迷惑どころじゃない。仮に我々が(漁に)出ていって試験操業しても、風評被害でダメだベ」と憤りの声が聞かれた。
福島第一原発では、今年8月には別のタンクから300トンの汚染水が漏れた他、今月に入ってからも放射性物質を含む雨水がタンクを囲う「せき」からあふれるなど、汚染水をめぐるトラブルが相次いでいる。
急がれる対策。福島第一原発では今も汚染水が増え続けている。
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