9月20日、岡山市長選挙告知日の2日前に「高井たかし」氏が、同選挙への立候補を表明されました。高井氏は元民主党衆議院議員。昨年12月の衆院選に現職で立候補し落選。また、今年7月の参院選では民主党を離党し無所属で立候補したものの、やはり落選しています。
連合岡山は、2009年の衆院選、2012年の衆院選、2013年の参院選と、高井氏が出馬した全ての国政選挙で同氏を推薦し、その都度組織を挙げた応援を行ってきました。また、民主党岡山県連の幹事長でもあった高井氏は、連合岡山と同県連の連絡・調整や連携強化に関する党側の責任者でもありました。
上記のような、高井氏と私たちのこれまでの関係を踏まえたとき、今回、高井氏が、岡山市長選挙で連合岡山推薦候補(民主党の推薦候補でもあります)である「大森まさお」氏と戦う決意を固められたことは誠に遺憾であり、当惑しています。
高井氏の出馬に関してはいろいろな思いがありますが、ここでは以下の2点について指摘しておきます(高井氏の掲げる具体的な政策については、現時点でよくわからないので、あえてここでは触れません)。
1点目は、高井氏のあまりの変わり身の早さに、政治家として信頼を置くことが難しいということです。つい2か月前に有権者を前に「安倍政権の暴走に歯止めをかけるため、無所属の立場から野党結集の新しい基軸になる!」と訴えていた方が、今度は「素晴らしい岡山市を創り、…地方から国を変える!」と主張しても、その言葉に重みを感じることができません。今回、高井氏が、どんなに熱く理念や政策を語っても、どんなに的確にライバル候補を批判しても、言っている本人に信用がなければ、その言葉は胸に響きません。私は、「ブレない」政治家がとにかく偉いとは思っていませんが(政治には柔軟性も必要です)、少なくともこの2か月間の高井氏のブレ具合は、政治家が常識的に許容される範囲を超えています。私には、市民、県民、国民に理解されるとは到底思えません。彼の出馬には「動機」は感じられますが、「大義」を感じることができません。
2点目は、連合岡山や民主党岡山県連など、高井氏の政治活動をこれまで支えてきた人たちに対し、あまりに礼節を欠いているということです。ご案内の通り、連合岡山も民主党県連も、岡山市長選で「大森まさお」氏を推薦し、選挙への取り組みを進めています。両組織とも、それぞれ組織内で議論し、正式な手続きを踏んだうえで大森氏の推薦を決めました。組織として決定されたことの重さ、組織決定に従い行動することの重要性は、県連幹事長を務めていた高井氏はよくご存じのはずです。先の参院選で連合岡山や民主党から多大な支援を受けた高井氏が、「いまは党を離れ無所属だからそんなの関係ない」というのであれば、それはあまりにご都合主義というものです。
実は、高井氏はここに至るまでの経緯の中で、連合岡山幹部や民主党県連幹部、後援会の主要メンバーなどから出馬を反対され、一度は出馬を断念しています(8月31日の高井氏のフェイスブックでご本人が不出馬宣言をされています)。私もその一人ですが、みんなが必死になって出馬しようとする彼に説得を試みました。彼の政治家としての現在や将来を真剣に考え、出馬が決して良い結果を生み出さないと思ったからです。高井氏の出馬断念に多くの仲間がホッとしていたのですが、告知2日前になって突然の出馬宣言。正直なところ、どうしてこんなことになるのか理解に苦しみます。
8年前に高井氏が政治の道を志して岡山にやって来て以来、連合岡山の仲間が、民主党県連の仲間が、後援会の皆さんが、どれだけ献身的に彼を支えたか、私は身近で見てきました。そういう多くの仲間の制止を振り切って、そして仲間に多大な迷惑をかけるのを承知で、今回の決断に至ったことが本当に残念でなりません。
相手を尊敬し、自らを謙遜し、行いをすることが「礼」であり、時と場合をわきまえて行動することが「節」だと言われます。少なくとも私には、今回の高井氏の行動に「礼節」を感じることができません。そして、「礼節」をわきまえることは、政治家にとって、とても重要な資質だと思っています。
岡山市長選挙に関しては、高井氏の動向にかかわらず、連合岡山は推薦候補「大森まさお」氏の勝利に向け全力で取り組みます。ただ、私たちが過去の選挙で、「高井たかし」という名前を組合員の皆さんに浸透させてきたことも事実。今回は、投票用紙に「高井たかし」ではなく「大森まさお」と書いてください、ということを組織の末端までしっかり伝えていかなければなりません。そのために、構成組織、地域組織と連携し、これまで以上に取り組みを強化させていく必要性を感じています。あわせて、構成組織や組織内議員が一丸となって選挙に取り組めるよう、組織の引き締めを図るとともに、環境整備に取り組みます。
また、民主党にも一層の組織の引き締めを要請していくつもりです。民主党低迷の要因の一つに、組織のガバナンスやマネジメントが弱く、常に組織内がバラバラな印象を与え続けたということが挙げられています。岡山において、そのような愚を繰り返すことがないよう、県連への働きかけを強化します。
最後になりましたが、高井氏は連合岡山にとって理念や政策を共有する政策実現のパートナーでしたし、私自身、彼とは公私にわたり親交がありました。私は、今でもその人柄が好きですし、大切な友人の一人だと思っています。ただし、今回の選挙では完全な敵・味方で対峙することになります。この世界、一度別々の道を歩み始めたら、また同じ道を歩くことは容易ではないということも何となく理解しています。「お互い、頑張ろう!」 彼に伝えるメッセージがあるとしたら、いまはそれくらいしか思いつきません。