偽アンケート:大阪市の民間校長、自らの評価を教委に無断で
毎日新聞 2013年09月13日 大阪夕刊
全国公募で今春就任した民間出身の大阪市立小校長(50)が6月、「民間出身校長の採用の参考とする」と事実と異なる理由を示し、自らの評価を教職員や保護者らに尋ねるアンケートを実施していたことが分かった。市教委に無断で実施したが、「教育長に送られます」などと記載している。校長は市教委の厳重注意を受け、謝罪文を配布した。【林由紀子、茶谷亮】
市教委は来年度、民間からの校長採用を35人に拡大するが、校長は取材に「現状を総括することが先で、拡大に疑問を持っていた」と話した。民間人校長を巡っては、保護者らへのセクハラ行為で別の校長が減給処分を受けたばかり。
市教委によると、校長は「校長に関するアンケート」と題し、教職員や保護者、地域団体の役員計約80人に配布。教職員用と地域・保護者用の2種類で▽リーダーシップを発揮している▽授業力や指導力の向上のための施策を行っている▽保護者やPTAとの連携に努め、協力関係を築いている−−など6〜8項目について、無記名で回答を求めている。
アンケは市教委に無断だったが、回答用紙には「民間出身校長の在籍する学校のみ行っています」「校内では開封されず、封筒のまま教育長に送られます」などと市教委が実施しているかのように記載。「採用の参考とする」とも明記していた。
市教委は7月、学校関係者の指摘を受け、校長から事情聴取し、保管されていた用紙を回収した。校長は「公募校長の検証をすべきだと思った」と釈明したという。市教委はアンケを公文書と見なし、「採用などへの言及は校長の権限を逸脱し、誤解を招いた」とする一方、「悪質性は低い」として懲戒処分にはせず、厳重注意した。
校長は毎日新聞の取材に対し、「説明に誤解を招く表現があった。文面は教頭が作成したが、管理できなかった私の責任だ」と陳謝。「民間人校長は研修で非常識な態度が見受けられ、市教委の面接時間も短かった。来年度の採用前に、我々の総括が必要だと思った。中身は見ていない」と釈明した。
校長の公募は橋下徹市長の公約で、市教委は今春、民間から11人を採用。しかし、住之江区の校長は「経験を生かせる学校ではなかった」として3カ月足らずで退職するなど、制度の在り方が問題になっている。