汚染水漏れ タンクに水入れ過ぎ10月3日 12時27分
東京電力福島第一原子力発電所で、2日夜、山側にあるタンクから新たに高濃度の汚染水が漏れた問題は、傾斜がある場所のタンクに水を入れ過ぎたのが原因と分かりました。
汚染水の一部は原発の港の外の海に流出したとみられ、東京電力は相次ぐ汚染水の流出に対し抜本的な対応を迫られています。
2日午後8時すぎ、福島第一原発4号機の南西側にある汚染水をためるタンクの上部から水が漏れているのが見つかり、その下のせきの水からベータ線と呼ばれる種類の放射線を出す放射性物質が1リットル当たり20万ベクレルという高い濃度で検出されました。
汚染水はタンクの天板と側面の板の隙間から漏れ、一部はせきの外に出て海につながる排水溝から原発の外の海に流出したとみられています。
この問題について、東京電力は3日午前、臨時の記者会見を開き、「連日にわたるタンクからの汚染水漏れをおわびします」と陳謝しました。
そのうえで、問題のタンクは山側から海側に向けて傾斜している場所に設置され、汚染水は低くなっているタンクの海側から漏れていたと明らかにしました。
通常は、傾斜を考慮して汚染水がタンクの上部に達しないようにためていましたが、2日は周辺のせきにたまった雨水を移送する作業が行われていて、入れ過ぎたのが漏れた原因だと説明しました。
移送作業の時間などから、せきの外に達した量はおよそ430リットルと推定され、一部は排水溝を流れる雨水とともに海に流出したとみています。
福島第一原発では、ことし8月、別のタンクから汚染水が漏れ、一部が海に流出したおそれが明らかになり、1日には、東京電力と協力会社との間の連絡のミスでタンクから汚染水が漏れるトラブルがありました。
増え続ける汚染水をためるタンクの増設を急ぎながら、大雨に備えた複雑な移送作業も行わなければならないという管理態勢のもろさが改めて示された形で、東京電力は抜本的な対応を迫られています。
官房長官「2度と起こらぬよう努力」
菅官房長官は、3日午前の記者会見で、「先の汚染水漏れを受けて、パトロールの回数を増やしたことで、かつてよりも早く発見し対応させることができた。ただ、実際に汚染水は漏れているわけで対応策が十分だったとは思っていない。まず、漏れることがあってはならないというのが基本的な考え方だ」と述べました。
また、菅官房長官は、記者団が「安倍総理大臣が発言した『状況はコントロールされている』という認識に変わりはないか」と質問したのに対し、「全体としてはコントロールできていると思っている。今回は台風の影響で漏れたようだが、そうしたことに対応する態勢もさらにしっかりしたものにしていきたい。東京電力と連携を取りながら、2度とこうしたことが起こらないよう最善の努力をしていく」と述べました。
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