「防衛秘密」の多くが廃棄10月3日 19時16分
政府が秋の臨時国会に提出し成立を目指している「特定秘密保護法案」で、保護すべき情報の1つとされているのが防衛に関する秘密です。
防衛に関する秘密は、いまの自衛隊法でも指定されていますが、毎年数千件から1万件の秘密文書が廃棄されていたことが分かり、公文書管理に詳しい専門家は、「秘密文書が秘密のまま廃棄されたのでは将来、事実を検証できず、今後、公文書管理のしかたを議論すべきだ」と指摘しています。
特定秘密保護法案は、防衛や外交などに関する重要な情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした場合は、最高で10年の懲役を科すなどとしています。
このうち、防衛に関する秘密は、今の自衛隊法でも防衛大臣によって指定されることになっており、特定秘密保護法案は、これを「特定秘密」として扱うとしています。
自衛隊法上のこの「防衛秘密」について、防衛省に取材したところ、平成19年から23年までの5年間で指定された文書は合わせておよそ5万5000件でした。
一方で、この間に保存期間を過ぎたなどとして廃棄された秘密文書は合わせておよそ3万4000件に上ることが分かりました。
廃棄された件数を、年ごとに見ますと、平成19年は2300件、平成20年は3000件、平成21年は9800件、平成22年は1万600件、平成23年は8600件となっています。
また、防衛省によりますと、平成14年に指定が始まって以来、「防衛秘密」が解除されたケースは1例にとどまるということです。
自衛隊法上の「防衛秘密」については、公文書の管理を定めた「公文書管理法」が適用されず、防衛省の課長級以上の担当者の判断で秘密文書を廃棄することが訓令で認められており、防衛省は、「自衛隊法など関連の法令にしたがって適切に処理している」と話しています。
また、政府で特定秘密保護法案を担当する内閣情報調査室は、「特定秘密」の保存や管理について、「文書の管理の在り方は引き続き検討していきたい」と話しています。
一方、情報公開や公文書管理の制度に詳しい、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、「秘密文書が秘密のまま廃棄されたのでは将来、事実を検証できない。特定秘密保護法案をきっかけに、公文書を保存し、管理していく仕組みを議論すべきだ」と指摘しています。
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