プロ野球の日本代表「侍ジャパン」の新監督に、昨季までソフトバンクの主将を務めた小久保裕紀さん(41)=野球評論家=が就任することが分かった。2日までに日本野球機構(NPB)が就任を要請し、大筋で合意に達したもよう。小久保氏は現在、野球評論家として活動中だが、NPBは11月に侍ジャパンの台湾遠征を計画しており、実現すれば新監督の初陣となりそうだ。
昨年までソフトバンクの主将だった小久保さんが、侍ジャパンの新監督として日の丸を背負う可能性が高くなった。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催は4年後の2017年だが、NPBは侍ジャパンの常設化、常任監督を置く方針を固めており、複数候補の中から若くフレッシュな小久保さんに白羽の矢が立った。
8日に42歳となる小久保さんは通算2000安打を達成した昨季限りで現役を引退。今年は野球評論家をはじめ、福岡市を拠点として野球解説を中心に活動してきた。1月には自叙伝「一瞬に生きる」(小学館)を出版。年明けには第2弾の出版が決まっており、近く執筆に取り掛かることになっていた。とはいえ、監督就任にこれといった障害はなく、NPBからの要請を受諾するのは確実とみられる。
現役時代の小久保さんは通算413本塁打をマークする一方、強烈なリーダーシップも発揮。ダイエー、ソフトバンクではもちろん、巨人でも生え抜き選手以外で初めて主将を務めた。
また、05〜09年までは社団法人日本プロ野球選手会の理事長も経験。青学大時代の1992年には、バルセロナ五輪に出場して銅メダル獲得に貢献するなど、アマ球界に精通する上に国際経験も豊富だ。
侍ジャパンは今年3月の第3回WBCに際し、監督の人選がぎりぎりまで難航。ソフトバンクの秋山監督に固辞され、山本浩二元広島監督に落ち着いた経緯がある。NPBではそうした反省も踏まえ、代表監督の早期決定と若返りを模索。指導者経験こそないものの、現場を離れて日が浅い小久保さんが最適と判断したようだ。
小久保さんが受諾した場合、初陣になる可能性が高いのが、11月に計画されている台湾遠征。来年以降も国際野球連盟(IBAF)が2015年に開催を目指す「プレミア12」などでの指揮が見込まれる。さらに17年の次回WBCへ向け、長期的視野でチームを構築していくことになる。
小久保さんは2006年の第1回WBCでチームを世界一に導いた王貞治監督(現ソフトバンク会長)に長く薫陶を受けており、強固な師弟関係にある。将来的なソフトバンクの監督候補としても名前が挙がっていたが、まずは侍ジャパンで「王イズム」を継承することになりそうだ。
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