今回紹介するのは2004年〜2009年に販売された
HA24S/24V型アルト(アルトバン)での交換方法ですが、
2009年〜のモデル(HA25S/25V)もエンジンは同型のK6Aを搭載しているので、
方法は同じ筈です。

2011年11月に発売された「アルト エコ」(HA35S型)はエンジンは同型ですが、
アイドリングストップ機能を搭載した為、もしかすると様子が変わっているかもしれません。
0.事前準備

事前準備として車体を上げなければいけません。
ジャッキアップしてスタンドに載せるのが一般的ですが、
私は斜めに切って坂道のようにした角材に乗り上げさせています。
15cmくらい上がればなんとか作業ができる筈です。
斜め切り角材は木材の切断サービスを提供している
ホームセンターに行けば手に入ります。
「車を載せたいのですが」と相談すれば適当なものを作ってくれます。
150x150x1000(mm)くらいの角材を切断してもらって900円くらいでした。

工具・道具としては下記のものが必要になります。

メガネレンチ・・・ドレンボルトを外すのに使います。多種多様ですが5本組で1000円程度からでしょうか。
          写真はKTC(http://ktc.co.jp/)からお借りしました。
メガネレンチ



フィルターレンチ・・・オイルエレメントを外すのに使用する専用工具です。
            ラチェットハンドルに付けて使用するタイプと写真のタイプがありますが、
            写真のタイプは色々な大きさのエレメントに対応できるのでお得です。
            デメリットとするとラチェットが使えないので、使用する為にスペースを要することです。
            恐らく、軽自動車を整備する場合は問題ないかと思います。

            一方、ラチェットハンドルに付けるタイプは1種類の大きさにしか対応できませんが、
            フィルターにかぽっとはめるだけで着脱できるメリットがあります。
            今回の作業では後者を使用しています。
            ラチェットハンドル用で1200円前後。割と高い。
            写真はエーモン工業(http://www.amon.co.jp/)からお借りしました。
フィルターレンチ



廃油受け・・・写真のような使い捨ての廃油処理パックを使うと簡単です。
        2.5L用は自宅周辺では売っていませんでした。4.5L用で350円前後。
        フィルターレンチと同じくエーモン工業製です。
ポイパック


ウエス・・・ぞうきんやボロ布でも問題ありませんが4・5枚用意して下さい。

オイルジョッキ・・・オイル缶から直接入れると入れた量が分からなくなるので、オイルジョッキを使用します。
           古河薬品工業製(http://www.kykk.co.jp/)の2L(目盛は1.5Lまで)のものを使用しました。
オイルジョッキ


交換用エンジンオイル・・・軽自動車なので3L缶でも余ります。
                『4Lで2回交換』に挑戦する場合は迷わず4L缶を買いましょう。
                価格はピンからキリまであります。

交換用オイルエレメント・・・1つ。カー用品店で適合表を確認して下さい。
                 今回はパシフィック工業(http://www.pmc-filter.jp/)のものを使用しました。
                 品名はLE MAN(ルマン)K-12です。
                 パシフィック工業の品番はPO-9502、スズキ品番は16510-81402です。
                 1個800円くらいでした。


1.ドレンボルト、オイルエレメントの位置を確認する

ではまず、位置の確認からです。
アルトはボンネットにエンジンがありますから、
左右の前輪の間に頭をつっこめば車両のかなり前方のほぼ中央に確認できます。
前からオイルエレメント、ドレンボルトの順に縦に並んでいます。
位置確認


2.『若干』オイルを温める

暖かいオイルの方が良く抜けるので、少しアイドリングします。
熱いオイルが手にかかると火傷をするので、
気温にもよりますが、数分のアイドリングに留めます。


3.ドレンボルトの下に廃油受けを置く

ドレンボルトの下に廃油の受け皿を設置します。
そこそこ勢い良く飛び出しますので、真下より若干車両後方側に置きます。

バットのような受け皿も売っていますが、
写真のような使い捨ての廃油処理パックを使うと簡単です。
箱の中にビニール袋と綿の吸収体が入っており、廃油を吸収させて廃棄します。


4.ドレンボルトを緩める

ボンネットを開けてオイルフィラーキャップ(エンジンオイル注入口、『ENGINE OIL』と書いてある黒い蓋)をはずします。
これは、オイルを抜けやすくする為です。
エンジンルーム



その後、ドレンボルトにメガネレンチをかけ、ボルトに向かって反時計回りに回します。
ボルトはかなり緩んでもオイルは出てきませんが、
飛び出したオイルで火傷しないように注意しながら緩めます。
エンジン周りにうっかり触り、すごく熱かった場合は無理せずしばらく冷ましましょう。
メガネをかける


5.オイルを抜く

ドレンボルトが外れる前にオイルが染み出してきます。
染み出したオイルを廃油受けで受けつつ更に緩めて、外すことになりますが、
手でボルトを持てない場合は、(オイルを受けるので精一杯だったり、まだエンジンが熱かったり)
無理をせずに廃油受けに落としてしまいましょう。
オイルが冷めた後、廃油受けから拾えば問題ありません。

ドレンボルトにはパッキン(金属の輪)がはまっています。
これがオイル漏れを防いでいるので失くさないように注意して下さい。
パッキンは経年劣化するので、2・3回のオイル交換ごとに交換しましょう。
ドレンボルトが緩む


6.オイルエレメントを外す

オイルが完全に抜けたらオイルエレメントを外します。
エレメントはコップのような形状をしており、
エンジンオイルが一杯に入っています。
外した途端に溢れ出すので予め廃油受けやウエスを用意して下さい。

円筒形なのでレンチをかける場所に迷いますが、
コップの底部分が多角形になっているのでそこにレンチをかけます。
反時計回りに回せば外れます。
エンジンから取り外したら、中のオイルをこぼさないように持ち、
廃油受けにオイルを捨てます。
エレメントはビニール袋にでも入れておいて廃棄します。

取り外したオイルエレメントにはオイルがいっぱい。
取り外したオイルエレメント


エンジン側からもオイルが垂れるので気をつけること。
エンジン側


7.オイルエレメントのパッキン部にエンジンオイルを塗る

新しいエレメントのパッキン(ゴム部分、ガスケットとも)部分にオイルを塗ります。
これは装着時の摩擦でパッキンが切れてしまわないようにする為です。
忘れずに塗っておきましょう。
トラブル予防の為、新油を塗ることをおすすめします。
オイルエレメントのパッキン


8.オイルエレメント装着

外したときの逆、手で装着し時計回りに回していきます。
エレメントがエンジンに密着したら、フィルタレンチを使用して
エレメントを4分の3回転更に締めます。
締めすぎないように気をつけて下さい。


9.エンジンオイル注入

ボンネットを開け、オイルを注入します。
アルトはオイルエレメント交換時は2.8L程が規定値です。
1.5Lのオイルジョッキで1.5Lと1Lに分けて注入し、
オイルゲージで量を確認します。
足りていないようであれば上限ラインに達するまで少しずつ追加しましょう。

アルトの場合、オイルゲージは黄色い持ち手になっています。
エンジンルーム



番外編〜4L缶で2回分を確保する〜
アルトは2L入れれば最低限度ラインはクリアできます。
但しこれは本当に最低限度の量なので、時折点検をして下さい。
繰り返しますが、トラブル寸前ギリギリの量です。
日々の点検ができない方は規定量を入れましょう。
当方では全く責任を持ちません。
例えば、オーバーヒートし易いなどのトラブルが発生する可能性があります。


10.慣らし運転


エンジンを3分程度アイドリングさせます。
アイドリング後、エンジンを停止させ、
ドレンボルト、オイルエレメントから漏れが無いかを確認します。
その後、オイルゲージでエンジンオイルの量を確認します。
エンジンの各部にオイルが行き渡ると、オイルゲージでの量が低下します。
必要に応じて追加して下さい。

特に2Lしか入れていない場合は確実な確認をしましょう。

以上で交換は終了です。