マートンは六回無死一塁で、左中間へ二塁打を放ち、好機を拡大(撮影・鳥越瑞絵)【拡大】
(セ・リーグ、広島7-2阪神、最終戦、阪神12勝12敗、2日、マツダ)自嘲気味に笑った名伯楽の表情がかえって“いらだち”を感じさせた。何度も味わってきた大勝翌日のロースコア敗戦。10安打を放ちながら、わずか2得点止まり。弾みをつける意味でも大事なCS前哨戦で“線”にならない打撃陣がふがいない。水谷チーフ打撃コーチが猛ゲキを飛ばした。
「6、7点は無理にしても3、4点は取るという形にしていかないと。2点だけで終わってしもたらな」
前日1日の中日戦(甲子園)で4番に座らせていた鳥谷を3番、4番にはマートンを戻して、8得点と快勝した。この日も一回に2人が四球と中前打で二死一、二塁の好機をつくる。福留が三振に倒れ、得点にはつながらなかったが、六回も鳥谷の安打とマートンの二塁打で無死二、三塁の好機を演出。5番・福留が二ゴロの間に1点。6番・新井が左前打を放ってもう1点をかえした。
だが、後が続かない。坂が二ゴロ、藤井彰が空振り三振に倒れて、2点止まり。水谷コーチも「ああいうところで1本出てほしい」。相手はCSファーストステージで対戦する広島。少しでも嫌なイメージを植え付けるには、あと1点、さらにもう1点を奪うことがいかに大事か。たとえ、CSで先発することのない投手だとしても“怖さ”を植え付ける最後のチャンスだったのだ。