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【社会】

都庁舎改修費60億円減 配管再利用 備品見直し発注

2013年10月3日 06時59分

高額な改修費がかかる都庁舎=2日、東京・西新宿で、本社ヘリ「おおづる」から(松崎浩一撮影)

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 世界的な建築家・丹下健三氏の設計で、「バブルの塔」と呼ばれた東京都の豪華庁舎の改修に、総額七百六十二億円を投じる計画について、都は六十億円分を削減する方針を固めた。購入予定の備品の見積もりを見直してより安価に発注するほか、配管設備を再利用する。建設費のほぼ半額に達する改修費の高額ぶりを本紙が報道したのを受け、猪瀬直樹知事が四月に削減の検討を指示していた。 (松村裕子)

 都庁舎は一九九一年に完成し、今回は初の本格的な改修工事。建設費千五百六十九億円のほぼ半分に当たる七百六十二億円を、二〇二〇年度までに投入する計画だった。

 老朽化した空調や給排水、照明などの設備を更新するほか、東日本大震災を受け、高層ビル特有の長時間の揺れを抑える制振装置も設置する。

 庁舎整備課によると、猪瀬知事の指示を受け、第一本庁舎と第二本庁舎の照明や給排水機、トイレの便器など購入予定の備品の見積もりを見直し、より安く発注する。一個当たりの削減額は少ないが、庁舎全体では備品は数千種類に上るため、削減額は数十億円分になる。

 また、本年度に発注する給排水や空調の配管について、使用可能かどうかを精査。使える配管は徹底的に再利用することで、数十億円分を節約する。備品の見直しや配管の再利用などで計六十億円を削減。同課の横山英範課長は「徹底的に精査した」と話している。

 備品購入を含む改修工事に関する入札は既に終え、契約議案を十二月議会に提出する。

 猪瀬知事は四月の定例記者会見で「今の金額は前提とせず、まだまだ精査する。詰めるところは詰めていきたい」と削減の検討を指示したことを明らかにしていた。

 大手開発業者の担当者は「公共工事は最初から低い値になっていないから、六十億円の削減もありえる。民間なら最初の見積もりより安くするのは当たり前」と官民の感覚の差を指摘。五十嵐敬喜・法大教授(都市政策)は「六十億円削減しても七百億円の改修費は大きな金額。都が自分で見積もりをして減らしても、第三者がチェックしないと都民は信用できない」と厳しい目を向けた。

<東京都庁舎> 48階建ての第一本庁舎、34階建ての第二本庁舎、7階建ての都議会議事堂からなる。鈴木俊一知事(当時)のもとで、千代田区丸の内から新宿区西新宿へ移転が計画され、1991年に完成。建設費は1569億円。高さ243メートルの第一本庁舎は大聖堂を思わせる双塔のデザインで完成時は高さ日本一だった。設計した丹下健三氏(1913〜2005年)は旧赤坂プリンスホテル新館(解体)や代々木第一体育館、広島平和記念資料館などを手掛けた。

(東京新聞)

 

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