くらしナビ・医療・健康:10月→目 今週はブルーライト対策 見過ぎない工夫は必要
毎日新聞 2013年10月03日 東京朝刊
人間が見ることができる光(可視光)のうち、青色の光「ブルーライト」を多く浴びすぎることの危険性が指摘されるようになった。最近は「ブルーライトカット」と銘打って、青色光を減らすメガネや液晶保護シートも販売されているが、その効果は不明な場合が多いという。
●LED普及で機会増
「青色の光を見過ぎるとよくないので気を付けるように、と医師から強く言われている」
暗いところでものが見えにくくなる網膜色素変性症を患う大阪市内の男性(76)はこう話す。医師からの指導で、昼間に外出する時は日光をカットするサングラスをかける。
ブルーライトは、波長が380〜495ナノメートル(ナノは10億分の1)の光。400ナノメートル以上とする説もある。波長が400ナノメートルより短くヒトには見えない紫外線は、目に入っても網膜まで到達しない。青色光は可視光の中で最も波長が短く、エネルギーが大きいまま網膜に達する。
パソコンやスマートフォンの液晶、照明などで、青色光を多く出すLED(発光ダイオード)が普及したため、日常の暮らしでも、ブルーライトにさらされる機会が増えている。
大阪大の瓶井資弘(かめいもとひろ)准教授(眼科学)によると、エネルギーが大きな青色光は、赤色、黄色、緑色などの他の可視光線と同じ光の量でもダメージが大きくなる。青色光を多く浴びたマウスは、そうでないマウスに比べ、目の病気の加齢黄斑変性が増えたとの実験結果もある。
●医学的な影響は不明
ところが、ヒトでは目の病気を含め、青色光の医学的な影響を証明した研究はなく、「どのくらい浴びたら、体にどんな影響があるのか」ということについて、明確に分かっていない。「ブルーライトカット」のメガネなどについても、健康への影響を減らせるかどうかは現時点で不明という。
ただし、谷戸正樹・島根大講師(眼科学)によると、青色光は散乱しやすいため、まぶしさを感じる原因になるなど、他の色に比べて目を疲れさせやすい光であることは確かだ。谷戸さんは「ブルーライトをカットするメガネをかけて目が楽になるのなら、かけた方がいい」と指摘する。
瓶井さんも長時間、パソコンで仕事をする場合はこうしたメガネをかける。「簡単な方法だが、将来の目のトラブルを減らせる可能性がある」と話す。
●疲れ感じないように