業界の中では知らない人はいない、「谷口P」の仕事をご紹介。
広告の未来をつくる
谷口さんの仕事について知るには、彼が作った作品を見るのが一番です。
もっとも直近で話題になっているのは、「カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた!」。この記事執筆時点で2,000いいね!を超え、2,000RT近く達しています。
あの佐々木俊尚さんもコメント。
「才能のむだ遣い」ということばをこれほど強く感じたことはなかった(笑。おもしろすぎる。/カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた! http://t.co/8VKGlmUcbT
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) October 1, 2013
他にも「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!」も話題になりましたね。こちらは3,000RTほど。
こちらも面白い。「3Dプリンターで大阪のオバチャンを量産してみた!」。
他にも、
・ライフネット生命 保有契約10万件突破 おめでとう特設サイト‐ライブドア×デイリーポータルZ
・ロシアと日本の美女対決!最強の水鉄砲 × 最強のメカ水着
・甘くない会社員の本音。“細かすぎて怒れない”マナー違反に激怒してみた。(前編)・原宿で次世代のファッションモンスターを探してみた!
などなどのコンテンツを制作なさっています。「谷口P企画/文章まとめ – NAVER まとめ」がポートフォリオ代わりになっているので、詳しく見たい方はぜひこちらから。
ちゃんと宣伝になってる!
で、上のコンテンツは何がすごいかって、これ、広告になっているんです。普通に読むと単なる面白コンテンツですが、それが嫌らしくないかたちで、広告としても機能しているわけです。
たとえば「カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた!」という記事は、トップバリュのカップラーメンをPRする企画記事となっています。ちゃんと記事の最後にリンクとひと言がありますね。
ちなみに今回盛り付けたヌードルをすべて食べてみたが、熱々のまま、そのまま食べた方が美味しかった。お客さまの声を聞いて、味のリニューアルを行ったトップバリュヌードルを、そのままでいいので是非味わってほしい。
■関連リンク
イオントップバリュラーメンプロジェクト キャンペーンページはこちら
トップバリュヌードル特集ページはこちら
「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた!」は、記事を読んでいただければわかりますが、映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』をPRするためのコンテンツとなっています。
第85回アカデミー賞で11部門ノミネートし、監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞の最多4部門を受賞したこの映画。虎と一緒に過ごすのは一体どんな心境なのだろうか?
登場してもらった大阪のオバチャンは、乙吉久子さん55歳だ。
豹ガラには飽き足らず、さらにどう猛な虎ガラを普段から着こなす久子さんは、大阪を代表するファッションモンスターだ。
この種の記事広告(スポンサー記事)は海外メディアではスタンダードな収益化施策になりつつあるのですが、成果が確約できなかったり、制作コストが掛かったり、「ステマ」のレッテルを貼られたりと、言うは易しの難しさがあります。うちのサイトも何度かチャレンジしていますが、結局バナー広告+アフィリエイトがもっとも効率がいい気がしてしまっています。
谷口さんはそんな「記事広告(という表現を、谷口さんはしていないようですが…)」のプロフェッショナルともいえるでしょう。すべての作品が「当たっている」わけではないですが、平均的に高いバズを起こしているのがすごいです。そしてどれも、嫌みがない。
谷口さんの企画哲学は、アドタイで惜しみなく公開されています。10/5にWebSigで講演をするそうなので、関心がある方はぜひ。10/23にもお話を聞ける機会があるようです。
(広告とコンテンツを一体化する方法 | AdverTimes(アドタイ))
これからのウェブ広告人材に求められる資質とは
谷口さんの作品を見ていると、これからのウェブ広告パーソンに求められる資質が何であるかを、如実に感じ取ることができますね。それは具体的に列挙すれば、
・ソーシャルでバズる「ウェブ文脈」を理解し、コンテンツを制作できる、「執筆・編集・ディレクション能力」
・PV、UU、短期的なコンバージョンだけではない、ソリューション提案を行う「提案力」
・マーケティング上のKPIを管理する「分析能力」
・ブランドイメージを崩さない範囲でコンテンツを制作する「バランス感覚」
・映画監督のようにチームに関わり、メンバーのモチベーション、創造性を喚起する「リーダーシップ(人望)」
なんてところになるのではないかと思います。なんというか、人材のレベルが違います。
特に「リーダーシップ」は希有な資質でしょう。「カップラーメンをどこまで豪華に撮影できるか試してみた!」なんて、いかにもメンバーがワクワクしながら作っている感じが伝わってきてすばらしいです。LIGにも通じるものがありますが、本人たちがマジで楽しんで制作するコンテンツはやっぱり強いですね。
広告というと「邪魔者」「嫌われ者」のイメージがありますが、谷口さんのような仕事ができるクリエイターが増えていけば、世の中には面白いコンテンツ・価値あるコンテンツが溢れるようになるでしょう。
それは、たとえばテレビにおいて「番組本編よりCMの方が面白い!役に立つ!」という事例が多数でてくるような世界です。ウェブメディアではすでにそんな未来の気配は漂ってきてますね。
余談ですが、これから「ウェブで笑いを起こすことができる」人材は価値が出てくるでしょうね。
先日のイベント(「企業ブログは「プリン」をイメージせよ:「バズ部」「LIG」が語るブログマーケティングの極意」)でLIGの吉原さんが「素人が笑いを狙うのは難しい。下手に狙いにいくよりも、もともと笑わせるのが得意な人をウェブディレクターに育てれば、うまくいくのではないか」と話していたことを思い出します。
ぼくにはコンテンツをバズらせるほどのユーモアセンスはないので、この領域は無理でしょうね…。誰かにいじってもらえるのならまだしも。
ちなみに谷口さんは、もはや知っている人はもう少ないであろう「バカ日本地図」の管理人でもあります。中学生の頃、このサイト見てたなぁ。書籍化もしてたのか。