物言う株主（アクティビスト）として知られる米著名投資家カール・アイカーン氏は１日、米アップルのティム・クック最高経営責任者（ＣＥＯ）との前日の会談で、同社の手元資金に相当する1500億ドル（約15兆円）の大規模な自社株買いを促したことを明らかにした。アイカーン氏は「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）」新モデルの好調な販売を背景に、積み上がる手元資金の投資家への還元へ圧力を強めている。

　米アップル株は前日の終値から２％以上上昇し、487ドルとなった。

　アイカーン氏によれば両者は３週間後に再会談するという。８月下旬にも両者は一度会談しており、今後定例化していくもよう。

　アイカーン氏はツイッターでの投稿後に米ＣＮＢＣテレビに出演し、アップルとの議論が続く限り当面は同社株を保有し続ける方針を明らかにした。同氏はアップル株について「自社株買いなどの株主還元策を導入しないために不当に割安な水準になっている」との従来の主張を繰り返し、資金調達してでも大規模な自社株買いをすべきだとの持論を展開した。

　アイカーン氏は、アップル株を大量保有し、保有規模は15億ドル（約1500億円）を超えるとされる。８月ごろからアップル株を買い増すとともに、ツイッターを使って株価引き上げ策を要求するなど圧力を強めている。

　アップルは2015年末までの３年間に配当や自社株買いで1000億ドル（約10兆円）程度の株主還元策を計画しているが、アイカーン氏は上積みも求めている。

（シリコンバレー＝兼松雄一郎）