東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 10月2日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

県民 嘆き 前向き 消費増税4月8%

消費税増税を表明する安倍首相の記者会見を中継する大型モニター。街行く人が足を止めて見上げていた=JR川口駅東口で

写真

 来年四月、5%から8%に引き上げられることになった消費税率。「とても生活していけない」「増税より、国の無駄遣いを減らすべきだ」。安倍晋三首相が税率引き上げを表明した一日、県民からは不安や怒りの声も上がった。 (羽物一隆、谷岡聖史、中里宏、池田友次郎、上田融)

■高齢者

 「一日から小麦や清酒が値上げされ、年金の支給額は削減される。消費税が上がったら、とても生活していけない」。秩父市の警備員男性(77)はそう言ってため息をつき、「消費税アップ分ほどの節約するのは大変。せめて食料品などは税率を軽減してもらえないと…」と嘆いた。

 さいたま市桜区で夫と年金生活を送る女性(70)は「節約しないとやっていけない。肉とか野菜とか少しでも安い物を探し外食や少しぜいたくなものも控える」と不満を口にした。社会保障費に充てるという増税の目的には「仕方ない」と理解を示すが、「いきなり3%増は急すぎる。まずは1%とか、少しずつ上げてほしかった」と漏らした。

■現役世代

 東松山市の団体職員女性(42)は「税金の使い道に納得できることが多いなら、しょうがないとも思えるが、現実は違う。復興予算のように、使うべきところに使っていなかったり、無駄遣いがあったりするじゃないですか」と憤る。「給料が安い人にとっては大打撃です。扶養控除の見直しや厚生年金の保険料率引き上げなどが続いて、ゆっくり首を絞められているような感じ」

 川口市の会社員男性(46)は「社会保障や日本の未来を考えれば、増税は仕方ない。そう考えると、一番平等なのは消費税だ」と、税率引き上げに理解を示した。家計への影響については「『生活が苦しくなる』との意見が散見されるが、きれいごとだけでは財政は立て直せない。工夫一つで出費は減らせるし、無駄を減らす機会にもなる」と話した。

■中小企業

 所沢市の飲料品販売会社経営の四十代の男性は、「税率の引き上げには絶対反対。安易に消費税に頼る前にほかにもっと削るべきところがあるはずだ」と力を込めた。「役所は電話で済む連絡や、簡単に済む認可に時間や人員を掛けすぎる。こうした無駄を省いてから国民にお願いすべきだ」とあきれた様子で語った。

 一方、朝霞市の金属部品加工会社社長の男性(62)は「引き上げてほしくはないが、文句ばかり言っていても仕方ない。高齢化社会が進む中で、社会保障制度を維持するにはやむを得ないのではないか」と話す。その上で「日本はものづくりの国。中小企業が強い製品開発力を保ち、世界と競争できる産業政策をお願いしたい」と注文した。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo