産経新聞 9月29日(日)10時10分配信
高視聴率のまま幕を閉じ、「倍返し」などの流行語も生んだ人気ドラマ「半沢直樹」(TBS系)。銀行を舞台にした激しい出世競争や、堺雅人さん(39)演じる主人公の銀行員、半沢直樹の壮大な復讐(ふくしゅう)劇といった日常離れした世界が描かれたが、メガバンクの銀行マンたちはこのドラマをどう見たのか。
「誇張はあるが、ネガティブな面も含めて、業界の一面を映し出していると思う」。40代の男性行員は指摘する。
男性行員らによると、役員をはじめ上級幹部に昇進できるのは、一握りの人間に限られる。ポストが絞られてくる50歳前後になると、上位ポスト争いで見込みがなければ、関連会社など“本流”から外れたポストに移される人事は確かに存在するという。
ドラマで軸となった銀行員同士の昇進争いでは、最終回で“敵役”の常務の不正を暴き、「100倍返し」を果たした半沢が、頭取から関連する証券会社への出向を命じられるなど、銀行本体からの「出向」がとかく否定的に描かれた。
だが、30代の行員は「今は銀行本体だけでなく、子会社や関連会社などグループ全体で収益を上げる時代。出向が必ずしもキャリアダウンになるとは限らない」と反論する。
一方、ドラマでは、銀行員の妻の集まり“奥さま会”で夫の業務内容が話題になる場面があったが、別の40代の行員は「仕事の話を家族に話すのは守秘義務違反にあたり、本来はありえない」という。
現役の銀行員が共感した場面も多い。大阪が舞台となったドラマ序盤では、支店勤務の半沢が取引先の町工場の社長の話に真摯(しんし)に耳を傾け、信頼を得ていく場面が描かれた。支店に配属された入行間もない行員は、中小企業を担当することが多く、「社長と信頼関係を築くなどし、帳簿で見えてこない経営実態を把握できるようにする力量は確かに不可欠だ」と別の30代の行員は話す。
一方、「将来、半沢は頭取になれると思うか」と聞くと、大半の銀行員の答えは「ノー」。40代の部長級の行員は「出世しても、銀行の取締役まででは」と述べた。
【用語解説】TBS日曜劇場「半沢直樹」
直木賞作家の池井戸潤さんの小説を原作に、22日まで放映された連続テレビドラマ。型破りな銀行員、半沢直樹(堺雅人)が融資の回収をめぐり、外部の組織や銀行内部からの不当な圧力と戦うストーリー。半沢の決めぜりふ「やられたらやり返す。倍返しだ!」は流行語になっている。最終回の関東地区の平均視聴率は42・2%を記録した。
最終更新:9月29日(日)13時16分
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