(2013年9月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
就任後、厳しい緊縮財政に舵を切ったジョージ・オズボーン財務相〔AFPBB News〕
英国経済は回復している。政府が正しいことが証明された。政府を批判した人たちは穴に入って恥じるべきだ――。要約すると、これが、ジョージ・オズボーン財務相が9月上旬に行った熱のこもった講演で述べたことだ。
特にオズボーン氏は、従来案の「プランA」がうまくいったと主張する。次善策のプランB――より緩やかな財政引き締め――を支持してきた人たちは間違っていることが証明されたというわけだ。さて、筆者の反応は次の通りだ。
確かに、経済は回復している。だが、オズボーン氏が2010年5月に財務相に就任してからの景気動向は惨憺たるものだ。
過去3年間の経済成長率は累計で2.2%だった。英国の予算責任局(OBR)は2010年6月、2010年から2013年にかけて経済が8.2%拡大すると予想していた。実際の数字は、その3分の1程度に終わるかもしれない。
とても自慢できない経済パフォーマンス
今年第2四半期の国内総生産(GDP)はまだ、危機以前のピークを3.3%下回っており、1980~2007年のトレンドが続いていた場合の推計値を18%下回っていた。英国では史上最も遅い景気回復である。
金融危機というものは、確かに大混乱を引き起こす。その事実が惨憺たる経済パフォーマンスの一部を説明する。
だが、イングランド銀行のスペンサー・デール氏とジェームズ・タルボット氏は、英国の経済実績が、危機に見舞われた他の高所得国の基準から見ても悲惨だということを示している。ユーロ圏の景気動向は、英国と同じくらいひどかった。だが、ユーロ圏の混乱と、英国が政策手段をすべて掌握していることを考えると、これはとても自慢できることではない。
オズボーン氏は、労働市場の力強い実績を指摘することができる(そして指摘している)。これは英国にとって唯一の救いだった。英国が通常の生産性拡大を享受していたら、失業率は今ごろ15%を超えていたかもしれない。失業率が低くとどまっているのは、労働生産性が今や2005年の水準まで後退しているからだ。これはとても自慢できることではない。
オズボーン氏はこれに対し、財政政策が惨憺たる経済パフォーマンスを招いたのではないと答える。景気低迷はインフレの衝撃とユーロ圏のせいだという。