認知症や脳血管障害を抱える高齢者たちに対し学校給食の残飯を食べさせる一方、施設の運営費数千万ウォン(1000万ウォン=約91万円)をルームサロン(高級個室バー)やモーテルでの遊興費に充てるなど、横領・流用していた高齢者福祉施設の運営者らが、国民権益委員会(権益委)によって一斉に摘発された。
権益委は1日「今年7月から8月にかけ、全国の高齢者福祉施設4352カ所のうち200カ所を対象に、施設の運営費についての実態調査を行ったところ、運営費を個人的に流用するなど、違法または不当な使い方をしていた施設が60カ所(30%)以上に上った」と発表した。権益委の関係者は「高齢者福祉施設の運営費の80%程度は政府が支援する『長期療養保険給与』から支払われるため、使途は厳しく制限されているが、事実上、施設の代表者らが小遣いのように使うケースが多かった」と説明した。
権益委によると、忠清北道清州市の高齢者福祉施設の代表者は、過去3年間に施設の運営費1億6700万ウォン(約1520万円)をルームサロンでの飲み代やモーテルの料金、個人の借金の返済などに使っていたという。この代表者は施設の運営費を横領するため、近くの小学校から給食の残飯を無料で譲り受け、入所者に食べさせていた。
また、慶尚北道義城郡の高齢者福祉施設の代表者は、施設の運営費2700万ウォン(約250万円)を遊興費やデパートでの買い物、病院の診療費、個人的な積立金などに使っていたとして摘発された。
このほか、高齢者福祉施設の職員たちに支給する退職金のために積み立てる金の一部を横領し、施設の代表者やその家族の個人年金保険に加入していた施設も、調査対象の30%に当たる60カ所に上ったことが分かった。