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復興足かせ、東北懸念 消費税8%

◎中小下請けは影響大、経済対策には期待感

 政府が来年4月に消費税税率を8パーセントに引き上げることを決めた1日、東北の経済界からは「本当に増税分を価格転嫁できるのか」との懸念が相次いだ。東日本大震災からの復興途上にある被災地では、景気後退を心配する声が上がった。

 「増税分を納入代金に上乗せできなければ、下請けが多い中小製造業の負担は増える」。みやぎ工業会の竹渕裕樹会長は、立場の弱い地元企業への悪影響を恐れる。
 山形県食品産業協議会の鈴木俊幸会長も「小売店からの増税分の値下げ要請も予想される」と憂慮。八戸水産加工業協同組合連合会の川村雅敏専務理事は「内税方式では取引価格に消費税が紛れてしまう。外税方式の商慣行の徹底を望みたい」と語った。
 一般消費者を相手にする小売業界では、税率アップに伴って値札表示や会計システムの変更が必要になる。東北百貨店協会は「増税時期は制服の需要期。同一商品でも、顧客の注文時期によって販売価格が変わってしまう」と戸惑う。
 増税で消費が落ち込めば、被災地の経済に冷や水を浴びせかねない。福島商工会議所の瀬谷俊雄会頭は「福島は福島第1原発事故の打撃が大きい。復興の足かせにならないよう支援が必要だ」と注文を付けた。
 経済対策への期待感は、被災地だけにとどまらない。秋田県中小企業団体中央会の塩田謙三会長は「大きな産業がない秋田では公共投資による刺激策を期待するしかない」と話す。
 対照的に、一部には強気の見方もある。仙台経済同友会の大山健太郎代表幹事は「宮城は復興需要で消費も旺盛。増税の影響は吸収できるだろう」との見通しを示した。
 東北経済連合会の高橋宏明会長は「経済にマイナスの影響が出ないためにも、政府は成長戦略の実現を急ぎ、低所得層への給付金等の救済策を実施してほしい」と語った。

◎東北知事、反応割れる

 安倍晋三首相が来年4月に消費税率を8%に引き上げることを表明した1日、東北の各県知事の増税に対するスタンスの違いが浮かび上がった。「妥当」「やむを得ない」との姿勢を示す知事がいる一方、「残念」と批判する知事もいた。東日本大震災からの復興への配慮や、景気腰折れを防ぐ経済対策を求める指摘が相次いだ。
 村井嘉浩宮城県知事は「慢性的な財源不足を補うために(必要性を)言い続けてきた。妥当な判断だ」と一定の評価を下した。復興事業が本格化しつつある被災地では悪影響への懸念も広がる。「被災者が住宅再建をためらうことのないよう支援策を矢継ぎ早に打ち出してほしい」と求めた。
 佐竹敬久秋田県知事は談話で「社会保障制度の維持や財政再建の観点からやむを得ない」と指摘。「国民生活への影響を抑えて景気の腰折れを回避し、地方の活性化につながる経済対策を求める」と主張した。
 吉村美栄子山形県知事は「社会保障の財源確保や国際的信用力の維持のため、増税は避けられない」との談話を出した。「復興を進めるとともに、生活必需品の軽減税率適用などの対策も実施してほしい」と要望した。
 佐藤雄平福島県知事は談話で「震災からの復興、再生への歩みが滞ってはならない」と強調。安倍政権が復興特別法人税の前倒し廃止を検討していることに触れ「廃止された場合の代替財源をはじめ、復興財源の十分な確保に万全を期してほしい」と注文を付けた。
 消費税増税に反対してきた達増拓也岩手県知事は「被災地の経済再生や復興の阻害要因となる恐れがある。経済実態を的確に把握した上で、慎重に判断するよう求めてきた。今回の決定は残念だ」との談話を出した。


2013年10月02日水曜日


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