10月1日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル軟調-米政府機関の一部閉鎖で量的緩和の継続観測
ニューヨーク外国為替市場ではドルが軟調。対ユーロでは一時、2月以来の安値を付けた。米政府機関の一部閉鎖を受け、金融当局が資産購入を続けるとの思惑が強まり、ドル売りが優勢になった。
ユーロは対ドルで一時、ほぼ8カ月ぶり高値。米国の政治的対立で成長が抑制されるとの見方が背景にある。17日以降にデフォルト(債務不履行)に陥るのを回避するため、議会は債務上限を引き上げる必要がある。円は安倍晋三首相が消費増税と経済対策を発表したことから高くなった。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの主任為替ストラテジスト、ニック・ベネンブローク氏(ニューヨーク在勤)は電話取材に対し、「ドルはやや軟調に推移している。市場は幾分か静観モードにある。最近の政治的な争いの市場への影響は限定的だと言える」と語った。
ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は前日比0.1%低下の1011.10。ドルは対ユーロでほぼ変わらずの1ユーロ=1.3526ドル。一時は1.3588ドルと、2月6日以来の安値を付けた。円は対ドルで0.3%高の1ドル=98円ちょうど。対ユーロでは0.3%上げて1ユーロ=132円55銭。
ピアポント・セキュリティーズ・ホールディングスのグローバルストラテジスト、ロバート・シンチ氏は「米金融当局がバランスシートの拡大を続け、世界の他の地域と比べ米国のマネタリーベースを増加させていくという事実はドルの悪材料になりやすい」と述べた。
政府閉鎖上下両院が暫定予算で合意に至らず、17年ぶりに政府機関の一部が閉鎖された。共和党が多数派の下院が医療保険改革法実施の1年延期を求める姿勢を崩さず、今回は土壇場での合意に至らなかった。民主党が多数を占める上院も、医療保険改革法の修正を盛り込んだ暫定予算案の拒否で譲らなかった。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる連邦公開市場委員会(FOMC)は先月の会合で月850億ドルの債券購入プログラムを維持した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は27日、ワシントンでの政府予算をめぐる議会審議の難航は今後のリスク要因の一つだと指摘した。また金融当局による債券購入のペースを減速させる前に、景気回復の勢いが強まる必要があるとの認識を示した。
5年前に1兆6000億ドルだった金融当局のバランスシート は、3兆7000億ドルに膨れ上がっている。
「緩和維持を意味する」ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のシニア通貨ストラテジスト、グレッグ・ギブズ氏(シンガポール在勤)は「政府閉鎖は米経済にとってリスクであるため、金融当局による緩和政策の維持が長くなることを意味すると市場は期待している」と指摘。「欧州通貨が強含んでおり、ドルがやや軟調だ」と述べた。
安倍首相は1日、消費税率(現行5%)を来年4月から8%に引き上げると表明した。増税に伴う景気腰折れを回避するため、12月上旬をめどに5兆円規模の経済対策をまとめる方針も示した。日銀は3-4日に金融政策決定会合を開く。
原題:Dollar Weakens as U.S. Shutdown Boosts Fed QE Bets; KronaRises(抜粋)
◎米国株:反発、政府機関閉鎖の影響限定的との見方で押し目買い
米株式相場は反発。17年ぶりに一部政府機関が閉鎖されたものの、経済への影響は限定的との見方が広がった。S&P500種株価指数は前日、3週間ぶり安値に下げていた。
ウェルポイントなどヘルスケア関連が高い。医療保険改革法に基づく各州の保険サイトがこの日から加入受け付けを始めた。製薬大手のメルクも上昇。同社は8500人の従業員を追加削減すると発表した。ドラッグストアのウォルグリーン は、決算で利益が86%増となったことが好感され買い進まれた。スポーツウェアメーカーのアンダーアーマーも上昇。JPモルガン・チェースによる投資判断引き上げが手掛かりとなった。
S&P500種 株価指数は前日比0.8%高の1695。ダウ工業株30種平均は62.03ドル(0.4%)上げて15191.70ドル。
RWベアードのチーフ投資ストラテジスト、ブルース・ビトルズ氏は「以前にも経験したことだ。投資家が心配していないことはそれほど不思議ではない」とし、「売り圧力は和らいだ。押し目を狙う動きが活発になった」と続けた。
前日は連邦予算をめぐる協議の行き詰まりを嫌気し、S&P500種は0.6%下落していた。
政府機関閉鎖の影響政府機関閉鎖により、最大80万人の連邦職員が自宅待機となる。またIHSの試算では、当初の経済的損失は1日当たり少なくとも3億ドル(約295億円)に上る見込みだ。
過去のデータが参考になるなら、米議会の対立は株式投資家にとっては買いの好機となる。1976年以降12回起きた政府機関閉鎖についてブルームバーグが集計したデータによると、S&P500種株価指数は政府機関閉鎖後の1年間で平均11%上昇した。これは同指数の年間平均リターンの9%を上回る。
議会ではさらに、16兆7000億ドルの債務上限の引き上げをめぐる攻防が待ち受けている。財務省は債務上限の突破を回避するために講じている緊急措置は10月17日に尽きると説明している。
USAAインベストメンツの株式投資担当バイスプレジデント、ワシフ・ラティフ氏は「ここ数日間における市場のより大きな懸念は債務上限を引き上げる期限だ」と指摘。「金融当局には市場の流動性を支援、あるいは流動性を供給する役割が期待されている。債務上限の問題が長引いたり、さらに大きな問題が発生したりすれば、金融当局が追加策を講じることはあり得る」と述べた。
経済統計の発表延期政府機関閉鎖は統計関連機関にも影響を及ぼしている。商務省がこの日予定していた建設支出の統計は発表されず、労働省も4日の時点で政府機関閉鎖が続いていた場合は雇用統計を発表しない。
民間である米供給管理協会(ISM)がこの日発表した9月の製造業総合景況指数は56.2と、前月の55.7から上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想 の中央値は55だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
S&P500種の業種別10指数 は全て上昇。ヘルスケア関連の指数が特に上げた。
ウェルポイントは3%高の86.11ドル。ヘルス・ネットは3.6%上げた。
メルクは2.4%高の48.74ドル。ダウ平均で値上がり率トップとなった。同社はこの日、8500人の従業員を追加削減すると発表、研究開発部門を立て直す方針を明らかにした。米当局による新薬認可が遅れていることが背景にある。同社はすでに7500人の削減計画を発表しているが、今回と合わせて従業員全体の20%が削減されることになる。
ウォルグリーンは4.5%高の56.24ドルだった。
原題:U.S. Stocks Rise as Investors See Limited Effects FromShutdown(抜粋)
◎米国債:3日ぶり下落、政府機関閉鎖は短期で影響は限定的と予想
米国債は3日ぶりに下落。米政府機関の閉鎖は短期間で終了し、議会は債務上限の引き上げ協議に取り掛かるとの観測が広がった。
10年債利回り は約7週ぶりの低水準から上昇した。米議会は暫定予算案をめぐるこう着状態を打開できず、17年ぶりに一部の政府機関が閉鎖された。閉鎖が続けば労働省が4日に予定している雇用統計の発表も見送られる可能性がある。9月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で当局は緩和策の縮小を見送った。
HSBCホールディングスの米金利ストラテジスト、ラリー・ダイヤー氏(ニューヨーク在勤)は「政府機関の閉鎖については様子見の姿勢だ」と述べ、「閉鎖は短期間で終わり、最終的にはそれほどの影響を受けないとみられている」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.65%。前日は一時2.59%と、8月12日以来の低水準をつけた。同年債(表面利率2%、2023年8月償還)価格はこの日、11/32下げて98 22/32。
政府機関閉鎖民主、共和両党間で直ちに協議を再開する予定はなく、一部議員の間では、政府機関閉鎖が米国初のデフォルト(債務不履行)の回避に必要な債務上限引き上げをめぐる争いの火に油を注ぎかねないとの懸念が高まっている。ルー米財務長官は債務上限の突破を回避するために講じている緊急措置が10月17日までに尽きると伝えている。
10月24日に償還期限を迎える財務省短期証券(TB)のレートは0.075%。9月27日にはマイナス0.01%だった。3カ月物TBのレート は0.0152%。9月27日時点ではマイナス0.0101%と、年初来の最低だった。今年の平均値は0.048%となっている。
メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は5日続伸、この日は2.8%上昇して87.37。年初からの平均は72.05となっている。
格付け会社フィッチ・レーティングスは米政府機関が17年ぶりに閉鎖されたことについて、米国の「AAA」格付けを引き下げるきっかけにはならないとの見解を示した。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、米議会が債務上限引き上げで合意できなかったとしても、米国債のデフォルト(債務不履行)といった「壊滅的」な事態は避けられるだろうとの見通しを示した。
ISM製造業統計朝方に米供給管理協会(ISM)が発表した9月の製造業総合景況指数 は56.2と、前月の55.7から上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は55だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。この統計発表後、米国債は下げ幅を拡大した。
ドイツ銀行プライベート・ウェルス・マネジメントの債券トレーディング責任者、ゲーリー・ポラック氏(ニューヨーク在勤)は「米政府閉鎖をめぐる不透明感を考えると、今の時点で経済統計の内容はそれほど重要ではない」と述べた。
匿名を条件に述べたオバマ政権当局者によると、政府閉鎖が続けば労働省は4日の雇用統計の発表を見送る。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では9月の米雇用者は18万人増が見込まれている。失業率予想は7.3%と、前月から変わらずが予想されている。
原題:Treasuries Decline Amid Speculation Shutdown May Be Short-Lived(抜粋)
◎NY金:1300ドル割り7週ぶり安値、米政府閉鎖の影響懸念せず
ニューヨーク金先物相場は7月以来の大幅安。1300ドルを割り込み、7週間ぶりの安値を付けた。米政府機関の閉鎖は短期で収束するとの見方から、金に資金を逃避させる動きが後退した。株価は堅調に推移し、MSCIオールカントリー世界指数は一時0.7%上昇した。
フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レシュ氏(シカゴ在勤)は「行き詰まりは良くないものの、その影響は限定的なようだ。質への逃避で金に殺到するような動きは見られない」と指摘。「株式のように比較的リスクの高い資産が選好されている模様だ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比3.1%安の1オンス=1286.10ドルで終了。7月5日以来で最大の値下がり。
原題:Gold Falls Below $1,300 to Seven-Week Low on ShutdownOutlook(抜粋)
◎NY原油:3カ月ぶり安値、政府機関の閉鎖で需給見通し悪化
ニューヨーク原油先物相場は続落し、ほぼ3カ月ぶり安値。米政府機関が17年ぶりに一部閉鎖され、経済成長と燃料需要が抑制されるとの見方が広がった。ブルームバーグがまとめた調査によると、2日発表の統計では先週の原油在庫の増加が示されると予想されている。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「政府機関の閉鎖が避けられていたとしても、相場は下げていただろう」と語る。「どの程度が予算交渉行き詰まりの結果であり、どの程度が弱気な需給ファンダメンタルズによるものか判断は難しい。供給は潤沢にあり、需要は弱い。政府機関の閉鎖はそれをますます弱くするだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前日比29セント(0.28%)安の1バレル=102.04ドルで終了。7月3日以来の安値で引けた。
原題:WTI Crude Falls to Three-Month Low on U.S. GovernmentShutdown(抜粋)
◎欧州株反発、米政府機関閉鎖の影響見極め-テレコム・イタリア高い
1日の欧州株式 相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は前日の1カ月ぶり大幅安から反発した。米政府機関の一部閉鎖の影響を見極めようとする動きが広がった。
イタリアの電話会社、テレコム・イタリアは5.2%上昇。ゴールドマン・サックス・グループが同銘柄をあらためて買い推奨に指定したことが手掛かり。デンマークの風力発電用タービンメーカー、ベスタス・ウィンド・システムズは6.8%高。バンク・オブ・アメリカが同銘柄の目標株価を引き上げた。
ストックス欧州600指数は前日比0.8%高の312.86で終了。ユーロ圏製造業活動が3カ月連続で拡大したことを好感し、3週間ぶりの大幅上昇となった。同指数は前日に8月30日以降で最もきつい値下がりだった。米議会が予算協議で合意に至らなかったほか、イタリアのベルルスコーニ元首相の政党に所属する閣僚が辞任したことが背景にある。
グレンデボン・キング・アセット・マネジメント(ロンドン)のニコラ・マリネリ氏は「現時点で政府閉鎖は成長に著しい影響を及ぼすというよりも、雑音に過ぎないようだ」とし、「過去に政府閉鎖や債務上限でもめた際の株式指数のパフォーマンスを見ても、明らかなデータのトレンドは見られず、株式相場は実際のところ反発する可能性もある」と語った。
1日の西欧市場では英国を除く17カ国で主要株価指数が上昇。独DAX指数は1.1%、仏CAC40指数は1.3%それぞれ上げた。英FTSE100指数は0.1%未満の下げとなった。
原題:European Stocks Advance as Investors WeighPartial U.S. Shutdown(抜粋)
◎欧州債:スペイン債利回り、4カ月ぶり低水準-米緩和策めぐる観測
1日の欧州債市場ではスペイン国債が上昇し、 10年物利回りが4カ月ぶり低水準となった。米政府機関の一部閉鎖で、米金融当局の緩和縮小が遅れるとの観測が広がった。
ポルトガル国債は4営業日続伸。17年ぶりの政府機関閉鎖で成長が鈍化するのを食い止めようと、米当局が量的緩和策の下で資産購入を続けるとの見方が強まった。米議会は月内に債務上限の引き上げで合意する必要もある。イタリア国債も上昇。レッタ首相は、連立政権を崩壊させようとするベルルスコーニ元首相に対抗している。一方、ドイツ国債は下落。安全資産を求める動きが後退した。
ダンスケ銀行の債券トレーディング責任者、ソーレン・モルク氏(コペンハーゲン在勤)は「政府機関閉鎖そのものと、それが債務上限引き上げに及ぼす影響を市場は見極めようとしている」と指摘。「景気回復が鈍化しないように米金融当局は量的緩和を拡大するかもしれない。そうなれば、周辺国債を含むリスク資産には支援材料だ」と語った。
ロンドン時間午後4時53分現在、スペイン10年債 利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.17%。一時は4.16%と、5月22日以来の低水準となった。同国債(表面利率4.4%、2023年10月償還)価格は1.035上げ101.86。同年限のポルトガル国債利回りは9bp下げ6.59%。
ドイツ10年債 利回りは2bp上昇し1.80%。前日には1.74%と、8月13日以来の低水準まで下げていた。
英国債相場は前日からほぼ変わらず。指標の10年債(表面利率2.25%、2023年9月償還)の利回りは1bp下げ2.71%、価格は0.07上げて95.995となった。
原題:Spanish Yields Fall to 4-Month Low asShutdown Stokes Fed Bets(抜粋)Pound Erases This Year’s 8.9% Drop as U.K.Manufacturing Expands(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク 楽山 麻理子 + 1-212-617-4903mrakuyama@bloomberg.net;ニューヨーク 西前 明子 +1-212-617-2601 anishimae3@bloomberg.net
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更新日時: 2013/10/02 06:55 JST