大阪維新の会:くすぶる分裂の火種 平沼氏、党主導うかがう

2013年10月01日

 「改革でとんがってなかったから市長選は負けたんや」

 堺市長選で大阪維新の会の公認候補が敗北した29日夜。候補の事務所で、敗北の記者会見を終えたばかりの日本維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)に松浪健太衆院議員がくってかかった。松井氏は黙ったままだったが、居合わせた若手衆院議員が「『堺は一つ』という感情的な面が影響したんだ」と言い返し、険悪な空気が漂った。

 橋下徹共同代表(大阪市長)が先頭に立った選挙で敗北した傷は深い。30日午前、大阪府議会の大阪維新の会府議団控室であった会合では、今井豊府議団幹事長が「アゲンストの風の中、よくやった」と敗北色の打ち消しに躍起となったが、会場は沈痛な空気に包まれた。

 大阪に拠点を置く非議員の橋下氏と松井氏が、国会議員団を抑えて主導権を確保してきたのは、選挙に強いという橋下氏の「神通力」があってのことだ。「橋下神話」が色あせれば統制は利かなくなり、遠心力が働き始める。

 そのうえ、堺市長選の敗北で「大阪都構想」に黄信号がともり、橋下氏は大阪での守りに入らざるを得なくなっている。橋下氏は30日午前、大阪市内で記者団に、「陣頭指揮を取りながら(大阪都構想の)制度設計をまとめ、住民投票に出すのが僕の仕事。僕自身が影響力とか求心力とか持ちたいと思ったことは一度もない」と語り、大阪の改革に専念する意向を強調した。

 橋下氏の「空白」を埋めようとうかがうのが、平沼赳夫代表代行ら、旧太陽の党系のベテラン議員だ。もともと橋下氏とは原発など政策面での食い違いが大きいが、「選挙の顔」としての橋下氏を立ててきた。平沼氏は30日夜、大阪市内で講演し「何に我慢しているか言わないが、ずいぶん我慢してきた。(国会議員)六十数人が結束して保守基調でこの国の改革をしていかないといけない」と語り、今後の党運営に意欲を見せた。

 だが、東京の国会議員団は平沼氏、大阪は橋下氏という役割分担でまとまる状況でもない。自主憲法制定など保守色の強い平沼氏ら旧太陽系の影響力が強まれば、統治機構改革や規制緩和などの急進的な「改革志向」は薄まりかねず、大阪系議員の反発は必至だ。

 大阪維新の会は8月、大阪選出の16人の国会議員の所属を認めるように規約を変更した。国政政党として「離脱」も可能な体制だ。分裂の火種は消えそうにない。

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