日本経済新聞

10月2日(水曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

速報 > 経済 > 記事

中国地方政府の資金調達会社、負債307兆円 野村国際が試算

2013/9/30 9:46
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 中国の地方政府が出資する資金調達会社の負債総額が、2012年末で19兆元(約307兆円)に上ることが明らかになった。中国の国内総生産(GDP)の37%に相当する規模。資金の使い道であるインフラ事業などは投資効率が悪く、債務不履行(デフォルト)の恐れを懸念する声もある。資金は通常の銀行とは異なる「シャドーバンキング(影の銀行)」を通じた調達が中心で、中国にあるリスクの一端を浮き彫りにしている。

 地方政府の資金調達会社は「地方融資平台」と呼ばれる。野村ホールディングスの香港法人、野村国際が集計した各地の地方融資平台869社の財務データを基に試算した。

 負債総額は10年からの2年間で39%増えた。中国政府が景気浮揚策として実施した4兆元の大型公共投資を背景に急速に膨らんだ格好だ。

 負債総額のうち有利子負債は14兆3千億元。投資先には回収に時間を要するインフラ事業が多く、利払い費用の確保が大きな課題となるが、12年は全体の53%で十分な資金を事業で稼げず、主に地方政府からの補助金などで賄った。野村国際の試算では、仮に流動性危機が起きれば70%は利払いに支障を来す恐れがあるとしている。

 今後さらに地方融資平台の財政状況は悪化するとみる。調査を担当した張智威エコノミストは「中国政府は14年中に一部でデフォルトを容認する」と指摘。指導部は成長率が下がっても構造改革を優先する姿勢で「指導部にとって今の(地方融資平台の)メカニズムを維持する動機に乏しい」と判断するためだ。

 地方融資平台はインフラや不動産など固定資産投資に資金を融通し、経済成長を支えてきた。デフォルトの容認などで資金の流れが滞れば「全体の成長減速は避けられない」。張氏は14年の中国の実質成長率を6.9%と7%割れを見込む。

 もっとも、仮に一部でデフォルトが起きても、政府の財政には十分な余力があり短期的に金融システム全体に連鎖する恐れは低いと想定する。逆に、現状のまま地方融資平台のさらなる肥大化を認めれば「将来のコストはさらに大きくなる」(張氏)と警告する。

 地方融資平台は中国の地方政府の別動隊で、その負債はいわば地方政府の「隠れ借金」にあたる。野村国際は今回の試算値を「保守的」ととらえており、「実際にはさらに大きい可能性がある」としている。(香港=川瀬憲司)

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

GDP、資金調達、野村ホールディングス、負債

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 14,484.72 +28.92 1日 大引
NYダウ(ドル) 15,191.70 +62.03 1日 16:03
英FTSE100 6,460.01 -2.21 1日 16:35
ドル/円 97.79 - .82 -0.13円高 2日 4:58
ユーロ/円 132.34 - .38 -0.50円高 2日 4:58
長期金利(%) 0.660 -0.020 1日 17:53
NY原油(ドル) 102.33 -0.54 30日 終値
日経ウーマノミクスプロジェクト 女性が輝く社会へ 無料会員急増中
ニッポン金融力会議
GlobalEnglish 日経版

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について