大阪府松原市の金属加工業「山道製作所」で９月３０日、専務の山道亮（あきら）さん（３６）が殺害された事件で、府警は１日、山道さんを拳銃で射殺したとして、元同社従業員で中国籍の郭栄茂容疑者（５９）＝同府八尾市久宝寺２＝を殺人容疑で逮捕した。郭容疑者は「再雇用をお願いしたが断られたので、脅そうとして拳銃を見せた。専務が『撃てるなら撃て』と立ち上がろうとした時、引き金を引いてしまった」と話しているという。

　逮捕容疑は、９月３０日午後６時半ごろ、松原市別所７の山道製作所２階の事務所に侵入して、回転弾倉式の拳銃で銃弾１発を発射し、山道さんを射殺したとしている。司法解剖の結果、死亡推定時刻は午後７時ごろで、死因は右側頭部射創による頭蓋（ずがい）内損傷だった。

　府警によると、郭容疑者は現場から車で逃走したが、１日午前９時ごろ、知人の男性に付き添われて奈良県警中吉野署に出頭した。拳銃について「８年前に日本国内で知り合いの中国人から買った」と供述しており、府警は拳銃を鑑定して入手経緯も調べている。

　郭容疑者は昨年１１月まで約２年間、同社に勤めていたという。郭容疑者の自宅の近くに住む女性（２６）は「気さくにあいさつし、にこやかな人だった。怒っているところは見たことがない。信じられない」と驚いていた。

　同社の終業時間は午後５時で、山道さんは事件当日、従業員が帰宅した後も一人で残業していたとみられる。室内に争った形跡はなく、現金も手つかずだったことから、府警は顔見知りによる事件とみて捜査していた。