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【国際】「情報収集、日米が協力」 ブレア前米国家情報長官
訪日中のデニス・ブレア前米国家情報長官は三十日、東京都内で本紙の取材に応じ、米国の情報機関が、中国や北朝鮮、国際テロなどの動向を探るため、日本政府とも協力して情報収集活動にあたっていると明らかにした。また、日本政府の機密情報の管理については強化が必要と訴えた。 (藤川大樹) ブレア氏は、日本との協力の手法について、(1)情報源の人物を通じた諜報(ちょうほう)で得た情報の交換(2)米国が技術などを供与した機材による通信傍受(3)衛星や航空機で撮影した画像と解析結果の共有−の三種類を列挙。「日米は仮想敵国が同じで、日本周辺での活動はたいてい日本の情報機関と協力している」と説明した。 通信傍受は、反米活動やテロ、麻薬取引などに関わっている人物の情報を得た場合、そこを基点に展開。暗号解読などで得られた情報は両国で共有し、ネットワークの解明にあたるという。情報を共有する日本側の機関としては内閣情報調査室などを挙げた。 ただ、日本政府の機密情報の取り扱いについては「現在の法律では弱く、提供できる情報が制限される」と指摘。安倍晋三首相が成立を目指す特定秘密保護法に期待をにじませた。 一方、米政府が個人の通話記録やインターネット上の情報を秘密裏に収集していた問題との関連では、ブレア氏は「米国は、日本の個人の(一般的な)通信は情報収集活動の対象としていない」と明言。 個人の通信情報の収集は、海外のテロリストと接触している場合などに限られると説明した。 ブレア氏は、中国人民解放軍が米国内の知的財産を盗み取るため米企業の通信システムに侵入を図った例があると指摘した上で、「米国は経済的なスパイ活動を行うことはない」として、中国との情報収集活動の性格の違いを強調。米司法省が立件した日系自動車部品メーカーの価格カルテル事件についても、情報機関は関与しなかったと述べた。 国家情報長官は、米国の情報機関を統括する高官。ブレア氏は笹川平和財団と英国王立防衛安全保障研究所の招きで来日している。 PR情報
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