週プレNEWS 9月17日(火)12時10分配信
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「実はAKBウォッチャー」だという朝井リョウ氏に「ファンではないんですね」と笑顔で答える横山由依ちゃん |
集英社文庫が“夏読書”を推進するナツイチキャンペーン。今年のマスコットを務めたAKB48の精鋭85人が、直筆読書感想文を書いてくれました。
感想文をまとめた『AKB48×ナツイチ直筆読書感想文集』(本日発売)の特別企画より、戦後最年少直木賞作家・朝井リョウ×AKB48チームA新キャプテン・横山由依による、必然の出会いともいえる“同期”対談の模様をお届け!
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朝井 横山さんは2009年の秋に研究生オーディションに合格されてると思うんですけど、僕もその年の秋に最初の賞をいただいているんです。
横山 じゃあ、同期ですね!
朝井 そうなんです。僕は9期なんです、AKB48でいうと(笑)。というわけで勝手に親近感を抱いていたんですが、横山さんは今回「これがあなたの課題図書です」って、突然『桐島、部活やめるってよ』を渡されたわけですよね。正直、最初はどう思いましたか?
横山 めっちゃうれしかったですよ。映画の『桐島…』も映画館で観てすごく面白かったので、原作が読めるんだなって楽しみでした。
朝井 映画と小説で、けっこう違いますよね?
横山 映画はもうちょっとモヤッとして終わった感じだったんですけど、本を読んだら、映画では表しきれないところまで登場人物みんなの感情が描かれていて。「バレー部のキャプテンだった桐島が部活をやめた」という出来事はひとつだとしても、いろんな視点があっていろんな感じ方があるんやっていうのが面白かったです。
朝井 世の中にはいろんな人がいて、いろんな人のことをいろんな人が見てて、そのいろんな人のことを想像していきたいよねっていうことを、この小説では伝えたかったんですよ。感想文でも、そこのところを書いてくださいましたよね。あと、登場人物5人のうち、自分が近いのはどのキャラクターだろう、「私は(菊池)宏樹かな?」と書いていますよね。僕も勝手に、横山さんはそうじゃないかなぁと思ってたんです(笑)。
横山 なんでですか!?
朝井 実はワタクシ、AKB48ウオッチャーでして……。
横山 あっ、ウオッチャー。ファンではないんですね(笑)。
朝井 まあ、ファンですけどね(笑)。いろんな記事を読ませていただいたりとか、ラジオも聴いてたりとかするんです。そうすると、横山さんがいないところで横山さんの話をする人がすごく多いような気がしてたんですよ。
横山 ええー。うれしい。
朝井 この人は、いないところでも影響を与えていくような人なんだなあって思ったんですね。あと、横山さんが昇格発表になったときに、周りの人たちがすごく喜んでいたのも印象的で。みんなに愛されてるんだなあっていう、そのへんも『桐島…』だと宏樹っぽいなぁと。
横山 ありがとうございます!
朝井 ところで、横山さんといえば、「マジレッサー」って呼び名もあるぐらいで……。
横山 朝井さんがツイッターで、「どうして桐島は部活をやめたんですか? なぜですか?」って私がマジレスをするんじゃないか、みたいなことを書いてらっしゃるのを見て……期待に応えられずすみません(笑)。
朝井 ごめんなさいね、勝手に……。横山マジレスで一番有名なのは『LISTEN?』という番組で、学生さんのリスナーから「ギターのコードがなかなか覚えられないです」という、純粋なメールが届いたわけです。普通は「子供のときって指が小さいから押さえにくくて大変だよね」みたいなことを返すと思うんですけど、横山さんは間髪入れずに「覚えられないわけないです」と。「努力すれば必ず覚えられるから、努力しろ」ということを普通に言っていて、みんなハッとしたっていう。
横山 ハッとされちゃったんですね(笑)。
朝井 「そのとおりだな!」と思ったわけです。横山さんはそういった努力をデビューのときからやってこられたからこそ発言に説得力があって。だから、みんなも納得。
横山 相当ウオッチされてますね(笑)。
朝井 ちなみに、この間の福岡ドームで篠田麻里子さんから後任キャプテンの指名を受けたとき、「自分はダサいけど頑張ります」とおっしゃってましたよね。あの発言が少し気になって。
横山 ダサいという自覚を持ったのはAKB48に入ってからですね。こんなん言ったら失礼かもしれへんけど、地元のなかでは自分は面白かったし、なんなら周りを盛り上げてたつもりだったんですよ。そのつもりで東京出てきたら。
朝井 「あれあれあれ?」と。
横山 「東京、レベル高くない?」みたいな。面白かった自分もどこか行っちゃったし、ダンスなんてやったことがなかったので、パフォーマンスもダサいし。でもダサいから一生懸命頑張るしかないんですよ。ただ、私服がダサいって言われるのはよくわからないんです。北原(里英)さんのおうちに遊びに行ったときにパシャッと1枚撮られて、ブログにアップされて。
朝井 その写真、僕見たことあります(笑)。
横山 その1枚のせいでずっとダサいって言われるんです! そのことにちょっと私は怒りがある。
朝井 そこなんですよ! 1枚の写真だけで勝手に想像して、わかったような気になってる人が超多いと思うんですよ。今ってツイッターとかフェイスブックがはやっていて、ちょっとしたひと言だけがピックアップされてブワーッと世の中に広まって、それだけでその人のことを判断されちゃう。このよくない傾向は、今すごくどうにかしたいです。
横山 写真や言葉の向こう側にいる人間を想像することを意識したいですね。だから『桐島…』にこのタイミングで出会えたのは、本当によかったと思います。今までは一メンバーやったから、ほぼ自分の感情だけ気にしていればよかったけど、これからはキャプテンとしてチーム全体を見ないといけない。この本を読んで「私はこう思うけど、向こうの気持ちってどうなんやろ?」と考えることが大事だとわかったので、みんなの意見を聞きながら、全員が生きるチームにしたいと思っています。
朝井 頑張りましょう、9期生同士。
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“同期”対談の完全版は文集に収録しています。お楽しみに!
(取材・文/吉田大助 撮影/中川有紀子)
●横山由依(よこやま・ゆい)
1992年生まれ、京都府出身。チームAキャプテン。2009年9月、AKB48第6回研究生(9期生)オーディションにて合格。大島優子、北原里英、指原莉乃とのユニット「Notyet」としても活動中で、最新シングル『ヒリヒリの花』が9月25日リリース予定
●朝井リョウ(あさい・りょう)
1989年生まれ、岐阜県出身。早稲田大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』でデビュー。現役大学生作家として注目されるが、2012年に一般企業に就職。「就活」をモチーフに描いた『何者』で直木賞を戦後最年少受賞。近著に『世界地図の下書き』
■『AKB48×ナツイチ直筆読書感想文集』
「ナツイチキャンペーン」でAKB48のメンバー85人が執筆した、85冊の集英社文庫の読書感想文を完全収録! 9月17日(火)発売!(定価998円・税込み)
【http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-780702-8&mode=1】
最終更新:9月17日(火)12時10分
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