先日、当ブログで掲載した記事がアゴラ言論プラットフォーム様に『相次ぐ暴走事故はマンガやアニメの影響が無視できない』とタイトルを変更して頂いた上で掲載されましたが、かなりの反響、というより反論が来ています。
それを一々取り上げてたらキリがない、というところで今度は同じアゴラにて、竹内祐人氏という方から『暴走事故と漫画の関連性を証明せよ』という具体的な反論記事が掲載された。

竹内氏は”例えば、頭文字Dを見てた人の暴走事故率は? 湾岸ミッドナイトを見ていた人はどうなのか。また、その事故の割合は確率と被害状況はどれくらいか。私はそういう話を聞いたことがないのですが、警察など役所で調査した資料か何かを多田さんはお持ちなのでしょうか?”と質問してきたので、深夜にもかかわらず地元の警察署に聞いてみたが、「そうした資料はない」との返事だった。
そりゃそうだろう。
臨床心理士や心理学でも学んだ専門家であり、そのようなケースを研究してる見でもない限り、そんな資料なんて無いに決まってるし、一々事故った馬鹿なドリフト族が「ボクは頭文字Dの影響を受けてドリフト族になって事故を起こしました」なんて言う訳もない。
一時期、『ゲーム脳の恐怖』といったトンデモ本(因みに、私は発売当時に自腹で買って、何度も呼んだ上でのトンデモ本認定です)が出たりした頃や、それ以前から”ゲームの悪影響”がテレビなどを賑わせていた時期があった。
それについて、臨床心理士でまだマトモだった頃の香山リカ氏が『ゲームの話をしよう』という雑談本(傑作ですので必読です)の中で、「それはゲームというサブカルチャーが、まだ世間的に浸透していないから」的な発言でゲームを擁護した。
対して、自動車は世間一般に浸透してるなんてレベルではなく、現代社会の必需品とまで言える。
それ故に、2001年に危険運転致死傷罪が適用されるまで、飲酒運転や無免許運転などの悪習が当たり前の状態であり続けたのだ。

では、話を肝心な『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』と暴走事故との関連性について改めて触れよう。
具体的な事故と作品との関連性について証明が警察署などのデータでは証明できないことは先程も触れたし、生憎この記事を書いてる時点で土・日なので両作品の出版社である講談社広報に聞くことも出来ないし、どうせ聞いたところで、「作中で「この漫画に登場する人物はフィクションであり〜交通ルールを守りましょう」的なことは書いてあります」と返されるのが関の山だろう。
だが調べた限りでも、『頭文字D』原作漫画の累計発行部数は47巻の時点で約4800万分にも及ぶ。
当然原作だけでなくアニメのDVD、劇中歌CDや数え上げたらキリがないくらいの関連グッズの売上は相当なものだろう。
『頭文字D』も『湾岸ミッドナイト』も掲載誌は週刊ヤングマガジン。
購読者や両作品の愛読者は、それこそ自動車免許取得可能な年齢に近い世代や既に免許所持者であることは間違いない。
そうした連中、取り分け未熟なドライバーが、「俺も藤原拓海みたいにカッコ良く峠を攻めてやるぜ!」 と思わないほうが不思議ではないか。
そもそも私は”間接的な影響を与えてる”という意味合いで書いたのであって、それこそ貴方の記事のコメント欄にも会ったように、そういった因果関係の研究なら、その道の専門家がやれば良いだけの事ではないか。
こんなことを言うと、原発反対運動をしながら、実際の対応や研究を「それは専門家の仕事でしょ」と言い切った坂本龍一のようで逃げになるかもしれないが、実際のトコ警察にそのようなデータはないし、出版社は逃げを打つだろうし、実際の研究はそれこそ「餅は餅屋」なりで、専門家の仕事でしょう。

今回の根本となった私の記事で取り上げた京都府での事故だって、事故を起こした馬鹿者は、信号無視やスピード違反や追突事故などの危険運転の常習者として地元では有名だったと聞く。
ましてや集団登校してる小学生児童の列が歩いてるトコで改造車でドリフト走行するなど言語道断だ。
しかし竹内氏は、あろうことか今回の事故について”今回話題になっている程度の運転ミス(今回はミスとは言いづらいものですが、車の挙動としてはミス)”などと書いているが、正直この発言には耳を疑いました。
児童5人が被害にあって、そのうちの一人は意識不明の重体なのに、それを引き起こした無謀なドリフト行為を”運転ミス”で片付けられてはたまったものではありません。
こうした事故というより事件の原因を軽視するような発言には強い怒りを覚えます。
 私のブログでは、以前からこうした危険な運転による悲惨な事故について怒りをぶつけた記事を書いてきたが、可能な限り過去の記事を調べてみたところ一番古いと思われる記事で『飲酒運転するバカから運転免許を永久剥奪しろ!』という記事があった。
http://blog.livedoor.jp/deathtron/archives/22827289.html
他の飲酒運転や危険運転に関する記事でも、「もうあいつら、両手・両足ぶった斬っていいよ」とか暴言を吐いたこともあったかもしれない。 
竹内氏は、”さらに、安全教育です。例えば歩きタバコがそうですが、徹底的に教育されていれば人混みで歩きタバコなんてしません。車での暴走も同じです。人がいるところで暴走しようとは思いません。タバコでいう喫煙所にあたる、車を楽しむ場所、サーキットなどで走れば良いでしょう。”とも綴っているが、あれだけ煙草メーカーが啓蒙活動してますけど、歩きタバコ無くなりましたか?
喫煙所に例えて、サーキットで走ればいいと言いますが、煙草と車のサイズの違い分かってますか?
天と地とほどの違いありまっせ、ホンマの話(苦笑)。 
今どきミニ四駆の走行コースを置いてある模型店ですら探すのが困難ですが(因みに、全国のタミヤプラモデルファクトリーなどで設置してます。有料ですが。)、ウィキペディアで調べた限りでは北海道が最多で全国に多くあるのは確かとはいえ、果たしてどれだけのドライバーが自分の腕を競うために足繁くサーキットまでカネを払ってまで通うでしょうか、大いに疑問です。
それよりも深夜の一般道や峠で危険なドリフト走行に走るほうが、まだ現実的でもありますし実際そうした例は数多く報告され社会問題化してるのを果たして竹内氏はご存知なのだろうか?
現に川崎市臨海部の東扇島では、深夜にドリフト族による危険な運転が横行し、それ目当てのギャラリーが騒いだりと近隣に大迷惑をかけただけでなく、ギャラリーを巻き込む人身事故まで発生した。
これに対し当局は、道路鋲の設置やゲートの移設などで取りあえず解決の方向に向かってるが、散発的なドリフト行為は続いてると聞く。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1307040039/
結局のところ、当局とドリフト族とのイタチごっこが続いてるのが現状だ。

竹内氏は、”ひとまず、多田さんにはまずは頭文字Dと湾岸ミッドナイトのファンが暴走車としてどれくらいの事故率か調べていただくことが必要ではないでしょうか。”と尋ねるが、例えとして正確ではないが、それこそ”悪魔の証明”みたいなもので、暴走車による事故の運転手一人一人に、「貴方は『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』のファンですか?」と訪ねて回るなんてことが可能かどうかなんて、聞かれるまでもなく不可能に近いだろう。
なら逆に私は竹内氏に、全国のドライバーとまでは言わないから、せめて全国のドリフト族から、「貴方は『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』のファンで、走行中にアニメのCDをBGMとして流したりしてませんか?」と調べていただきたいものだ。

竹内氏は、追記の中で”保険の考え方に合わせるなら、年を取ると一定の年代までは事故が減るそうなので、例えば25歳までは横滑り防止機能付き限定(カットも不可)というのはいかがでしょう。”と書いているが、ホントにまじめに聞きたいんですが、狭い上に入り組んでいる日本の道路で何故そこまでドリフトにこだわるんですか?
ひょっとして貴方もドリフト族なんですか?

私の今回の記事が自動車事故憎しによる主観的な記事だと言われれば、それを否定するつもりはありません。
ですが、竹内氏の記事も所詮は机上の空論でしかないと私は判断します。 
私のブログでも書きましたが、昨年末、私の中学時代の恩師が通勤途中にひき逃げ事故で死亡しました。
http://blog.livedoor.jp/deathtron/archives/52293947.html
犯人は今でも捕まってないそうで、私が中学高校と育った児童養護施設の保母さんに聞いたところ、毎日のように生徒や時にはOBが情報を求めるチラシを配ってると知り、私は涙が止まりませんでした。
この事件で、私の中で自動車事故に対する憎悪は尚一層高まりました。
「短絡的な意見」大いに結構です。
「主観的な主張」大いに結構。
少なくとも貴方の仰る、”最終的には公道を走る車は全て自動運転になるべき”や(『エクスドライバー』の世界観ですか。藤島康介先生を馬鹿にしないでいただきたい。)”ドリフトができるくらいの技術を義務として身につけさせるべき”や”25歳までは横滑り防止機能付き限定”なんて頓珍漢な意見よりは遥かにマシです。 
ましてや、”今回話題になっている程度の運転ミス(今回はミスとは言いづらいものですが、車の挙動としてはミス)”なんて、事故にあった児童やその家族にどの面下げて言えるのか、是非お答え願いたいものです。

私は全ドライバーや全国、いや世界中の『頭文字D』と『湾岸ミッドナイト』ファンやドリフト族を敵に回そうと構いません、このような危険運転を助長するような漫画やそれがオシャレのようなアニメや、実際に危険運転を繰り返す連中を絶対に許しませんし、私は全国の自動車運転事故の被害者やその家族や遺族の味方です!

兎に角、今は今回の事故に遭われた児童の回復、特に意識不明の一年生男児の一日も早い回復を心から願います。