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ネタつつき183 - 人権と命は何よりも大切

 日本は意外と、人権と命の大切さを知らない人が多いと感じます。何故ならば、ブラック企業に「若者が悪い」と扇動されたぐらいで、直ぐにそれを信じ込む人が多いからです。本当に人権と命の大切さを知っている人は、その程度の嘘に騙されません。人権と生命の大切さを語るのは困難ですが、大切な事なので書きます。
 人権と生命の大切さは、失って初めて、真に理解できます。私は人権と命の大切さを、ブラック企業から学びました。ブラック企業では、人権は認められず、生命の危機すらあります。それ故に、何とかブラック企業から逃げ延びた後は、ひときわその大切がわかりました。
 ブラック企業では、従業員を物として扱われます。私の場合は、特許製造機です。燃料を与えないと動かなくなるので、仕方く少しだけ燃料を与えるという態度で扱われていました。時給は100円未満だったので、一時間に一回缶コーヒーを飲めばマイナスになります。それ故に、ほとんど水分も取れず、一日に一回程度パンを食べながら、ひたすら研究していました。勤務時間は少ないときで十数時間で、多いときは20時間ぐらい(基準社長の感覚なのでタイムカードなし、24時間超えたら0としてカウント。居眠りもしくは意識消失したらたたき起こされて0からカウント開始)でした。睡眠をとるという理由の帰宅だけ許されていました。
 この状態になると、眩暈・頭痛・吐き気・眼精疲労・空腹…などの症状に見舞われ、生きている心地がしませんでした。しかしながら、幸いなことに、集中力があったので、研究中は何も感じませんでした。でも当時の私は、たまに画面が読みにくくなるので不便だけど、体が勝手にキーボードをたたくので何とかなるぐらいにしか考えていませんでした。集中力が増している理由は、3ヵ月以内に特許を出願できる状態にしないと、命の保証がないからです。もちろん、発明を白紙から考えて、それを分析・設計・実装・試運転までしないとなりません。時間が一秒でも欲しい、極限状態でした。その社長の口癖は、「人間死ぬ気になれば何でもできる。」と「誰かの役に立たない人間は生きている価値がない。」と「君の言動次第で家族にも迷惑がかかるよ。」でした。それでも、「利用価値があったら正社員を考えてもよい。できる人間にはそれ相応の扱いをする。」という言葉だけが希望でした。
 私は文字通り必死に頑張り、2ヵ月ほどで発案、仕様決定、分析、設計、一部実装、一部試運転まで行い、何とか出願できる状態にしました。何とか約束通りの事をしたので、私はもしかしたら正社員になれるのではないかと、希望を持っていました。しかしながら、ブラック企業の社長から出た言葉は、「少しは使えるようだな。だが、まだ完成していないし、正社員は見送る。一刻も早く完成させたまえ。そうそう、次の発明も頼むよ。今の発明と新発明を並行開発してくれ。」でした。
 私は初めて入社した企業がこの状態だったので困惑しました。確かに世間は厳しいと聞いていたのですが、いくら自分を誤魔化しても異常です。それで思い切って家族に相談したところ、「一刻も早くそんな会社辞めろ。」と言ってくれました。でも私は家族に危害を加える可能性があったので渋りました。そうすると、家族の人たちは、「家族は迷惑を受けたりかけたりするもんだよ。その会社と戦う覚悟はできている。一緒に辞表を提出しに行こう。」と言ってくれました。そして、勇気を出して辞表を提出しに行きました。
 辞表を提出しに行くと、ブラック企業の社長は、やはり受け取ろうとしませんでした。それどころか、「息子さんには才能があるから、うちの会社で私のやり方で働けば必ず大成します。研究職なので長時間労働になってしまいますが、いつかその努力は実になりますよ。私が育てれば世界的に有名な研究者になるのも夢ではありません。」などと、私の両親を説得しようとしました。この手の社長は口が上手く、人格者を演じるのが上手いです。
 幸い両親は私のいう事だけを信じてくれていました。「うちの息子の意思を尊重する。一刻も早く辞めさせてください。」と頑固一徹で対応してくれました。すると、ブラック企業の社長は、少しの時間だけ私と話しをしたいと言い出しました。私は勇気を出して対決することにしました。
 二人きり(両親は隣の部屋)になると、いつも通り人格者の仮面を投げ捨て、「辞めたらただで済むと思うなよ。二度と働けなくしてやる。この業界は狭いんだ。」と脅し始めました。私は覚悟を決めていましたので、「こんな業界(IT業界)に未練はありません。とにかく辞めさせてください。」と言いました。その返答は、「甘いな。そこまで言うならば、一応辞めさせてやる。しかし、他の業界でも働けると思うな。餓死しなければいいけどな。もう一度考え直せ。」でした。
 本音を言えば私は迷いました。家は貧乏なので、家に迷惑を掛けたくありませんでした。ましてや、社会人にもなって、一生働けないのは苦痛以外の何物でもありません。働けない私に何の存在価値があるというのでしょうか?それでも、私は最終的に辞めると決断しました。家族に迷惑がかかるならば、一人でひっそり餓死すればいいと考えた上の事です。
 こうして、ブラック企業を何とか止めました。でも本当の戦いはここからでした。ブラック企業の社長の座右の銘は有言実行だったので(おそらく他の従業員を恐怖で縛り続けるため)、激しい就職妨害をされました。それで就職が困難になり、貧困の末に、特許目当ての違うブラック企業に何度か入社したりしました。それと、身元を隠してバイトをしたりして、何とか生き続けました。
 何故またブラック企業に就職するのかと、皆様は不思議に思うでしょうが、就職妨害が激しかったので、私を受け入れる企業は、事実上ブラック企業しかありませんでした。それで、生存費を稼ぐために仕方なく入社しました。むろん、そうした企業は始は良心的に、優しく声をかけてくれます。それで騙された側面もあります。私は誰かを信じたかった。そうした、戦いは十年近く続き、一番最初のブラック企業が倒産し、他のブラック企業も経営不振により、私に対して労力を割けなくなりました。最後のブラック企業の社長には、交渉の末、自分の命と自由の権利と家族に危害を加えないという約束を、発明で買い取りました。こうして、漸く私は人権を手に入れました。最後のブラック企業の社長からは気に入られ、ビジネスパートナーに誘われました。
 最後のブラック企業の社長が言うには、私は情報技術ならば大概の事が出来るから、IT詐欺に向いており、一仕事で億単位のお金を稼ぐ方法があるそうです。ですが私は、お金に興味がないので、丁重にお断りしました。お金は所詮道具です。人に迷惑を掛けないという自分の信念を曲げたら死んだのと同じです。人に危害を加え楽して大金を得るよりも、人に危害を加えずに、汗水流して働いて、少しのお金だけ稼げればいいのです。どんな職業でも時給100円以上あるでしょう。
 人権と自由を手に入れてから私は、バイトをしながら、自分の特技を生かしてフリーになりました。こうして今は、何をしても幸せだと感じる人生を送っています。あの時のことを思えば、お米が食べられるだけで幸せ、本を読めるだけで幸せ、息を吸えるだけで幸せ、睡眠できるだけで幸せ、友人と会話するだけで幸せ、家族に会えるだけで幸せ、普通に仕事できるだけで幸せ・・・です。
 こうした人生経験を踏まえて私は思うのです。無理やり考えたら、誰にも責任はあるでしょうが、人権と命は何よりも尊重するべきです。私は自分が被害を受けたので、若者ならばいいと考えられません。誰しも等しく、生きる権利はあります。その権利を侵害する行為を、そのままにしておいてよいはずがありません。今日本がするべきことは、責任論を振りかざして、被害者を責める事ではなく、ブラック企業の被害を、少しでも多く減らすことに全力を尽くすことなのではないでしょうか。

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

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