厚生労働省が若年層を対象に実施した「若者の意識調査」で、興味深い結果が出た。調査対象となった独身女性の3人に1人を超える34.2%が、「結婚後は専業主婦になりたい」と回答したのだ。
これに対して、結婚相手が専業主婦になってほしいと望む男性は19.3%と5人に1人未満。男女間の意識の差が明らかになった。
厚労省が2013年9月10日に発表した調査結果は、全国の15~39歳の男女3133件の回答を得たもの。回答内容には世帯年収でバラつきがみられた。
「結婚したあとに専業主婦になりたいか?」という女性への問いに「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合が最も高かったのは、世帯年収800~1000万円未満で48.1%に上る。ただし「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」という回答も40.7%と比較的拮抗していた。
この層には、夫の収入が十分あるので専業主婦になりたいと考える女性と、逆に自分がキャリアアップして収入も上がってきているから辞めたくないという女性の両方がいるのだろうか。
また、回答者の男女に「なぜ専業主婦になりたい/なってほしいと思ったか」という問いに「夫の収入だけで暮らしていけると考えているから」と答えた人は、世帯年収が最も少ない200万円未満から800~1000万円未満の層までは1割程度見られる。
ところが1000万円以上となると、ゼロだ。代わりに増えるのが「女性には家事や子育てなど、仕事をするよりもやるべきことがあると思うから」「夫がしっかり働けるようにサポートするのが妻の役目だから」との内容。回答者が少ないせいもあるだろうが、もはや夫の収入を悩む次元ではないのかもしれない。
「専業主婦」を巡る議論は、ネット上でこれまで何度も繰り返されてきている。夫婦ゲンカともなれば、夫は「オレの稼ぎで3食昼寝付きの毎日かよ。いい御身分だな」とイヤミを言い、妻は「家事も子育ても立派な仕事よ。あなた家で何もしないじゃない」と反撃する――。こんな構図が典型的だろう。
ネットでは、「旦那の会社がもっと給料くれてりゃ、妻は働かなくて済むんだよ」と主婦願望を叫ぶ女性や、「働かずに食う飯の旨さは格別」と皮肉めいた書き込みといろいろだ。
厚労省の調査でも「結婚相手の女性は専業主婦になってほしいか」との問いに、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた男性の割合は、世帯年収200万円未満では16.5%と低い数字だが、1500万円以上だと28.6%だ。
年収が十分でない夫からは「妻にも働いてほしい」との本音が垣間見えてくる。曽野綾子氏の「出産したらお辞めなさい」問題も、結局はデフレ経済下で夫の収入が低いから「やりたくてもできない」ということなのだろう。
また、薄給で過酷な仕事が多く、「専業主婦になりたいって思う女性を責めるなら、そう思わせるような労働環境を考えてみろよとは思うね」という指摘もある。
しかし、仕事が厳しいのは男女とも同じだ。「たぶん、専業主夫になりたい人も同じくらいいるよね」「なぜ専業主夫の項目がないのか」という書き込みも。そう言われると、なぜ調査に「専業主婦」しかないのかと不思議に思えてくる。
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