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批判の声も!? 『エースコンバット インフィニティ』に見る、家庭用ゲームへの課金の是非

日経トレンディネット 10月1日(火)13時14分配信

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批判の声も!? 『エースコンバット インフィニティ』に見る、家庭用ゲームへの課金の是非

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批判の声も!? 『エースコンバット インフィニティ』に見る、家庭用ゲームへの課金の是非
バンダイナムコゲームスが年内に配信を予定している、プレイステーション3用フライトシューティングゲームの『エースコンバット インフィニティ』が、ネット上などで一部のユーザーからは批判の声が上がっているようだ。

 バンダイナムコゲームスが年内に配信を予定している、プレイステーション3用フライトシューティングゲームの『エースコンバット インフィニティ』。先月行われた東京ゲームショウにほぼ完成した状態で出展され、あとはサービスの開始を待つばかりとなっている本作だが、ネット上などで一部のユーザーからは批判の声が上がっているようだ。その理由は、本作が家庭用ゲーム機のソフトとしてはまだ珍しいF2P(Free-to-play:基本プレー無料)を導入したことにある。

【詳細画像または表】

 『エースコンバット』は、1995年に初代プレーステーション用ソフトとして第一弾が登場した。これまでは店頭で販売されるパッケージソフト(※携帯アプリ版をのぞく)だったが、『エースコンバット インフィニティ』はシリーズで初めてF2Pでの配信となり、ソフト自体は誰でも無料でダウンロードが可能になった。有料のアイテムを購入時にだけ料金が発生するアイテム課金方式となっている。

 パッケージ販売をやめてF2Pの導入にメーカーが踏み切ったのは、おそらく新規ユーザーの獲得を重視した結果の決断なのであろう。実は、アイテム課金方式の導入は本作が始めてのことではない。例えば2007年に発売されたXbox360用の『エースコンバット6 解放への戦火』では、新しい機体やマップなどの有料コンテンツが追加配信されている。よってシリーズ作品をずっとプレーし続けているファンであれば、アイテム課金を利用したゲームの楽しみ方は十分にわきまえていることだろう。

●問題を解くカギは「出撃燃料制」にあり

 では、何が批判の対象になったのか? それは、東京ゲームショウのステージ発表において、本作がアイテム課金とともに「出撃燃料制」というシステムの導入を明らかにしたところにある。「出撃燃料制」とは、プレーするたびに燃料が消費されて残量がゼロになると新たな燃料を購入するか、燃料が自動的に回復するまでの時間を待ってからでないとゲームを続けることができないという仕組みだ。

 いわゆる携帯、スマートフォンなどのソーシャルゲームにおいては、このようなプレー時間を買うシステムを用いた例は特に珍しいことではない。実際、ガチャが盛んになる前の時代に登場したソーシャルゲームでは、プレー時間の販売によって大きな収益を上げた有名タイトルも存在する。だが、本作の「出撃燃料制」を否定的にとらえるユーザーが現れた背景には、『エースコンバット』シリーズならではの事情がある。

 本シリーズはプレーヤー同士での対戦や協力プレーだけでなく、1人プレーで架空の世界を舞台に戦いながらストーリーを進めていく「キャンペーンモード」が代々ウリになっており、今作においてもこのモードは引き続き登場する。つまり本シリーズのファンたちは、「出撃燃料制」によっていつも楽しみにしていたキャンペーンモードにプレー時間の制約が発生し、自分のペースで遊べなくなってしまうのではないかと危惧を覚えたのである。

 また、プレーヤーの中にF2Pそのものに嫌悪感を覚えた人がいるのは間違いないだろう。特に古くからアーケード(ゲームセンター用)ゲームに親しんでいる人は、繰り返し練習して実力を向上させることで、追加料金を支払わずに長時間続けられることに快感、充実感を見出す。よって、自分の実力とは直接関係のないところで無理やりゲームを中断させられると、そのストレスたるやとてつもなく大きなものになる。

 このような古参プレーヤーにとっては、対戦プレーで負けてしまったのならともかく、1人プレー時に自分は何もミスをしていないのに「時間になりましたので終了です。続きをお楽しみになる方は燃料の購入をお願いします。」などと言われてプレーを中断させられる光景は、ただ想像するだけも耐え難いほどの抵抗感があることだろう。

 繰り返しになるが、本作はまだ正式にリリースされてはいない。「出撃燃料制」が本当にプレーヤーがストレスをため込むようなものになっているのか、まだ誰にもわからない。現在の状況でゲームの良し悪しを決めるのはもちろん早計だ。

 F2Pが功を奏して、ユーザーの増加により売上の大幅アップとなるのか、それとも長年愛着を持つファンのユーザー離れを起こしてしまうのか? 本作がフライト開始となるタイミングまでに燃料システムをいかに整備し、ユーザーに納得のいく着地点が見出せるかどうかにその命運がかかっているのではないだろうか。

(文・写真/鴫原 盛之)

最終更新:10月1日(火)13時14分

日経トレンディネット

 

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