- [PR]
ライフ
【若手記者が行く】「顔は撮影しないで!」 園児たちの取材で意外な注文が…約束破って抗議され、分かったこと
その後、改めて小学校の校長と担当課長に謝罪をした。「次から気をつけてくれればいいから」と言ってもらえたが、書くことだけに必死になって取材相手との約束を破ってしまった。
「ついうっかり」が教えてくれたこと
報道を前提として主催者側が記者を集めて行うイベントなどでは、こうした制約がかかることはほとんどない。今回はこちらから申し出た取材だったが、いま思えば、なぜ、写されると困るのかという相手方の真意を、事前にしっかりと聞いて理解しておくべきだった。
後日、上司に呼ばれた。「あの記事だけど、どうして顔が分かるような写真を載せないでって言われたと思う?」。そう質問されて「…個人情報だからでしょうか」と蚊の鳴くような声で答えた。
「もちろんそうなんだけど。例えば、写っている子が父親の家庭内暴力から逃げていたとしたらどうする? 小学校名と一緒にこの写真が載っていれば、その子の居場所はすぐ分かってしまう」
今回の場合、トラブルがあったとは聞いていないが、「ついうっかり忘れてしまった」ことで重大な事態が起こっていたら…。楽しいイベントの裏にも、さまざまな事情を抱えて生活している人がいるかもしれない。記事を書くことの責任の重さ、社会に与える影響の大きさをもっと考えなければと思った。
これからは、伝えなければならないことを記事にする時に“読者のため”と“書かれる人の立場”の板挟みに悩む場面にも出くわすかもしれない。小さなイベントの取材だったが、伝えることの難しさを思い知らされた出来事だった。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]